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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

26日、ZST大会。佐野哲也vs平信一がメインイベント

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ZST67佐野哲也vs平信一



というか、メインイベント。

zst.jp


メインイベント第11試合 ZST特別ルール ライト級 5分2ラウンド ※肘あり
平信一綱島柔術) vs 佐野哲也(チームSOS)

このブログには2018年の記録が残っているけど…
m-dojo.hatenadiary.com

同記事には

最後のつもりで頑張ります。

のひとこともあるが、これは実際にも本人から聞いている。
社会人の転機や区切りは「年度」であることも多い。3月11日は、まさに2017年度も押し詰まった時期だ。
もちろん、スポーツ選手は怪我が慢性的だったりするので、たとえば”引退”したあとじっくり怪我を治すと現役最後より体調がよくなり強くなる、などのことは普通にあり、そういう時に「じゃあまたやってみるか」というのも、ごく普通の感情であり、現象である。
だから「のつもり」という不確定要素を残しているのだと思う。
ただ「のつもり」であっても、佐野選手が「最後のつもり」で戦うことは間違いない。


そんな、試合。東日本大震災から7年目の3月11日でもある。
時代は、いやおうなく、動く。


と、たいへんにエモい文章がつづられており、その後、一説には佐野選手のもとに「長い間の激闘お疲れさまでした」という、記念の贈り物が届いたとか届かないとかあるのだが、その2年後に日本で屈指の老舗団体になったZSTでふつーに総合ルールのメインイベントを貼っているとは、当時のだれが知ろうか。
しかし大仁田厚の記録がある以上、クレームのつけようがない。


それはそれとして。
試合のみどころ
公式メディアがとかでなく、手作り感満載で盛り上げていくサイドストーリー

blog.livedoor.jp
……ZSTアウトサイダーの対抗戦が組まれた2010年の「THE OUTSIDER 第13戦」で、私は初めてその選手を見ている。

しかしながら、その時の私はZST側の選手、ライダーや奥出雅之選手を応援しに行ったのであって、その選手に関しては、あくまでも濱岸正幸選手の対戦相手という認識しかなかった。

なぜ、その時の私には、躊躇しか無かったのか。

はたして理由を考える必要があるだろうか。

考えるまでもなく、私はその選手に対してビビッていた。なんせ、ワルの祭典「THE OUTSIDER」を代表する選手だ。間違いなくワルである。少なくとも普段はメガネをかけているから、視力的なものはワルであろう。そして大胸筋がでかい。なんなのだ、コレは。絶対、プロテインとかに合法的に手を出しているに違いない。デカくてワル。そんなの初期型「山のフドウ」じゃないか…

そういえば、フドウも一度鎧を封印して引退したが復帰したファイターである。

‥‥2019年。佐野選手は戦いの舞台に戻ってきた。そして、ZSTという場所を選んだ。…(略)。。自分の選手としての価値を高める事だけが目的であれば、ZST以外の選択肢もあったはずだ。

なぜZSTだったのか。そこに平信一選手がいたからだ。

平選手と藤巻選手との試合で、佐野選手は平選手の中に「意志力」の強さを見た。

もしかしたら佐野選手は、平選手に対し何らかのシンパシーを感じたかもしれない。或いは、ただただ単純に憧れたのかもしれない。

そして同時に、“この意志力の強い平信一という選手に、佐野哲也という選手をぶつけたらどうなるのか”と考えてしまったのではないだろうか。


なんだ!すごい因縁の、歴史的な試合に見えてきたぞ!!
www.youtube.com




しかしZSTも本当に長く続いている。

当初の矢野、所、今成らやリトアニア勢まで登場しての個性的で世界的なスケールからは縮小したけど、その縮小の結果、末永く続くシステムが構築できたんじゃないか、という気がする。そこで独自ルールによる発展あり、王者のメジャー団体出場あり、アマチュア発掘ありなのだから、実によくできているじゃないか。

昼にSWATがやる。


zst.jp


惜しいのは、以前からGAORAと縁があるせいか、これだけサンタクロースのように気前よく放送権をアレしているabemaTVとZSTは縁が無いことだ。
今回の試合も、abemaTVで配信されていればねえ……


もうひとつ この記者会見が(グダグダで)すごい!

www.youtube.com

「やっぱり…自分の…もう…信じた…実力で…もう、そこはもう、真っ直ぐに…もう…もうしかめて(?)行くしかないと思うんで…とにかく…もう自分であるライダーに分かっているのは…もう、あきらめずに…もう進むしかないと……」
要約するなら、「これからもライダーは全力で頑張るので、よろしく頼むぞ!」という事なのであろうが、恐ろしいまでに言葉に詰まるライダー。そして結局、話を纏めきれなくなったか、

「…もう進むしかないと……ハイ!」

(略)

「今回は無事に…もう、試合にもう、勝ったら勢いを…よく…止まらずにして…もう、行きたいと思うんで…とにかく…まずは…ズ、ZSTの…チャンピオンを…なる事が目的だと思います。しかし…まだ…まだ強い選手もいっぱいいるんですけど、とにかく自分が勝たなければ…何もできないんで…そこは、あくまで…ライダーとしての…勝つ事が…目標なので………以上です」
blog.livedoor.jp

「ウェイクアップ…ちょ…怪人として!!」

ここで周囲から、それ、ウェイトアップじゃね?」という、ささやかなツッコミが入る。

木多康昭先生「喧嘩稼業」創作秘話。「工藤の初期設定(無痛無感症)に待ったがかかり、2回戦は全面直しを余儀なくされた」

まず「〇〇はパーだから」という表現は使えなかった、という話から。





そこから連想して、ということだろうか…

「今まで一番困ったのは、工藤の初期設定への待った」






「先天性の〇〇」は、いろいろ編集部的には厄介なのだろうか…でも・・・?

おそらくは、これまでの格闘技もの…だけではなく、たぶん白土三平の忍者ものからあったネタの一つで、「漫画的な、キャラクターの戦闘力や超能力じみた特殊能力を『先天的な特異体質(一種の病気)』という設定にする」というのが、今、ちょっと編集部から待ったがかかりやすくなっているんだろうか、と推測する。

全面NGじゃないと思うよ。相撲の横綱の「筋力が異様に強い」というのもナントカカントカという先天性の体質ということにしてたし、ほかにも短期記憶が失われる人も出てるし。
そもそも「無感無痛症」だって、田中芳樹原作・荒川弘作画で講談社の中では売れている作品のひとつである「アルスラーン戦記」に、シンドゥラでの神前決闘のダリューンの相手として登場したしね。
しかし色々、むつかしいもんだね…


ただ、さらに推測すると、だから「連載やーーめた」になっただけじゃなくて、単純に休みたかったのも理由なんじゃないか、とも邪推する(笑)

まとめあり
togetter.com



twitter.com


喧嘩稼業(12) (ヤンマガKCスペシャル)

喧嘩稼業(12) (ヤンマガKCスペシャル)

喧嘩稼業(11) (ヤンマガKCスペシャル)

喧嘩稼業(11) (ヤンマガKCスペシャル)

喧嘩稼業(10) (ヤングマガジンコミックス)

喧嘩稼業(10) (ヤングマガジンコミックス)

RIZIN、今後の展開をいろいろ模索…しかしマネル・ケイブがまたもや!




石原夜叉坊の名前も定期的に浮上するけど、その前にUFC帰りで「金原正徳」がいたか!!
ビクター・ヘンリーとやるともなれば盟友所英男の敵討ち、ともなる


ネルケイブ、自主的営業活動


モハメド・アリからコナー・マクレガーまで、一貫した事実として、「マナーよく紳士的に相手を称えるより、罵りからかい挑発した選手の試合をファンは見たくなり、プロモーターも選手も儲かる」がある。
であるなら、ケイブがこうするのはいい悪いでいうとあまり好みではないが、自然の振る舞いである。
だが性に合わない人間は合わない。彼は才能があるのだろう。

「あなた達のお尻を叩く父親になりましょう」はネイティブ言語じゃないのに、いい煽りであった。
あとはバンタムとフェザーの間のパワー差を埋められるか?だが、減量の状態によっては階級あげて調子がよくなったりもあるしな。


しかしまあ、UFCやONEの選手の名前を挙げなくてよかったよ(笑)


そして、リプでこの画像張ったやつには笑った


マクレガー劇勝を呼んだ「肩パンチ」。単体の威力以上に「相手が意識してない場面の攻撃」がいかに有効か、なんだろうね

コナーマクレガーの試合、当然ながら自分も唖然としながら1ラウンドで終わるこの”ショートショート”を眺めることになった。
ま、もちろんあの notorious の打撃が入れば短期決戦で終わることは可能性としてはあったが…何より驚いたのが最初に試合の形勢を傾けさせた「肩パンチ」だった。


肩パンチ。
自分は郷野聡寛か、マリオ・スペーヒーが元祖だったんじゃないかなー、と思っているんだけど、この辺は観測バイアスもあるし「私的にそうだった」とだけ言っておきます。 GO のはスタンド(コーナーでの膠着状態)で、スペ―ヒーはグラウンドでの膠着状態で…どちらもお互いが手の動きを封じあっている状態から放つものであった。
ただ、これはそういう両方が手の動きを止めあっている時に「やらないよりマシ」「判定でちょっと有利になる」ということだけで放っているようなもので、 これが大きなダメージに直結するというイメージはなかった。
ほら、プロも「あなどれない」とは言いつつも『セコ技』だと(笑)

コナーの肩が爆発的な「パンチ力」を持っていたかというとそうではなく、要は相手が「意識していなかった」時に放つ技がいかに衝撃力が大きいかということだろう。
木村政彦も「力道山の空手チョップは(八百長の約束があった)自分が完全に油断している時に頸動脈にガチで入れてきたので、大ダメージを受けてしまった」と語っているし、交通事故であっても…一瞬だけ「あっぶつかる」と思って肩をすくめるのと 、そんな意識がなくて後方から突然ぶつかられた時のむち打ち的ダメージが違うのも同じことなんだろうな。

だからバキのトーナメントで、プロレスラーの猪狩と戦った時に、猪狩が「プロレスラーは覚悟の量が違うんだ」と言って、通常の攻撃では無類のタフネスを誇っていたのに、バキが「相手の意識の外から繰り出す”見えないパンチ”」を放った時には一転して大ダメージを受ける…… という展開が描かれたのはさすが、さすがだった、と今回の UFC を見て改めてそう思ったりしたのでした。

この「意識していれば、耐えられる」というモチーフは今やっている大相撲編でも登場してましたね。

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バキ道4 板垣恵介 相撲



本日UFC、コナー・マクレガー参戦。報酬もすごいものに

……あとは落ちていくしかないほどの高みに達したマクレガーは、一時はセレブとしてのライフスタイルに浸っていると報じられ、昨今では酒場でのもめ事など、ネガティブなニュースばかりが漏れ伝わってくるようになってきていた。
「名声の落とし穴に落ち、集中力をなくしてしまっていた。時には感情に駆られて、思ってもみないことをしてしまうこともあった。格闘家としての自分のこれまでの成功は、コンスタントに格闘技にコミットしてきたからこその結果だった。そして今、俺はやっと格闘技に全力を注(そそ)ぐことができるようになった」とマクレガーは復帰に向けて意欲を見せている。

(略)

…セラーニも試合の意味はよく分かっている。

「オレはスタンドで勝負する。みんなそれを見たいんだろ。それでは勝てないというヤツがいるが、オレは退屈な試合で勝つくらいなら、歴史に残る最高の試合で負ける方がいいんだ。マクレガーが昔のようなハングリー・キッドで出てきてくれることを期待しているし、そうなると思うよ」




放送はWOWOWで。

プレリムにはロクサン・モダフェリの試合も
yunta.hatenablog.com

書き忘れていた「RIZIN」大晦日大会の感想を書く

そういえばまだRIZIN晦日大会の感想を書いてないことに気づいた。
すごく遅ればせながら箇条書きします。


・メインイベントで朝倉海がマネルケイプに負けた試合。
バンタム級が予想あるいは懸念通りにシャッフルされる戦国時代となった。確かにケイプも相当に実力を増していたとは思うが、 これまで例えば佐々木憂流迦にも封じ込められていたわけで、その佐々木憂流迦朝倉海は完勝しているから、これだけで混沌とした状態と言える。次の第一挑戦者の扇久保も抑え込むスタイルは得意なわけで、ケイプから見事に勝利する可能性も大きい。そうなれば戦国時代が本格的に到来するわけで、自分はそういうほうが最高に面白いと思ってたんだけど、実際のところを見るとやっぱり「 エース」が君臨する世界観の方がスポーツはどうも受け入れられるらしい。その辺が今後の見所であるかと思う。


・ただ気になるのはケイプが言っている「以前は電気もないようなアンゴラのジムで練習をしていた。それではだめだと一念発起して、アメリカ(だったかな?)の一流ジムで練習するようになった」という部分でどれほど伸びしろがあるのか、だ。この伸びしろを持ちつつも、ケイブが王者になったと言うなら…、ひょっとしたら彼がその伸びしろを育てていけば、絶対王者として君臨するかもしれないし、そうなれば「マネル・ケイブUFCへ」という話にもなるだろう(笑)


・そういえばそういうわけで、はい来ましたプロハースカの UFC 参戦。
yunta.hatenablog.com
そしてライト級トーナメントという大当たりの企画で頂点に立ったムサエフのUFCとの交渉話。いいフィーダーショー(はしごの大会、転じて大きな団体に、実績を挙げた選手が移籍するきっかけとなる場所としての団体)ではありませんか、RIZIN(笑)。


・まあこれは良い悪いではなく「そういうもの」であると思うしかない。堀口恭司UFC復帰 には今のところ興味を示さないであろう、そんな体制で数年やれたのが例外的だったんだ。と言うか日本人選手なら、フジテレビ地上波で放送されるRIZIN、特別な意味を置き、ここに忠誠心を示す必要があるが、 ひとたび外国人選手がその階級の頂点に立ち、内容的にも技術的にも素晴らしいものを見せるなら、UFCやONEがオファーしないはずがない、と考えるしかない。もうそれを前提としなければ。


・そんな中で難敵をうまいこと撃退した朝倉未来は、弟の衝撃 KO 敗戦もあるから、ことし前半期は最低でもRIZINの 看板を背負う形になる。本人のいう「YouTube で稼げるから、試合は1年2回でいい」という話、実に正論すぎる話で(笑)そういうファイターがいて全く問題ないと思うが、「現在RIZINの看板を背負う」問題とつなげると、やはり試合数は多くなってくるのだろうか。
でまさに本人が YouTube 番組で名前を出したらしいと言う「石原夜叉坊」、これはやっぱり見てみたいですね。番組の中では「やっても全然いいが、あんまり問題にならない相手」みたいな言い方だったらしいけど、やはり外敵感がある人間が登場して戦うのが盛り上がる。


・そして「UFCに参戦した選手はやっぱり別格。一勝でもしてれば即RIZINでもどこでもトップクラス」という価値観はやっぱりここ数年でこっちにも植え付けられているので,RIZINはそれを商売に活かしつつ、出来れば勝ってその価値観も壊したいという思いもあるだろう。
そんな点で石原夜叉坊vs朝倉未来は大きな試合として組まれていいと思うのです。
ただ石原夜叉坊RIZIN接触して出場交渉をしているという話を聞いてるわけではない。どうなってるんだろうね?


・ハム・ソヒvs浜崎朱加は、自分が見た限りでは1、3Rをとった浜崎防衛かなと思ったのだが、ジャッジはラウンドマストではないし2ラウンドの三角絞めはよりフィニッシュに近かったと判断されたのだろう。それはそれで異論があるわけではない。
しかし典型的なフィストオアツイストの試合となるかと思われていたこの戦いで、浜崎のパンチがむしろハムを捕らえ、そしてテイクダウンされたハムが、三角絞めで柔道出身の浜崎をほとんど1ラウンド逃さずに捉え続けかなりやばい状況まで持って行ったというのが、総合格闘技の妙を感じさせるところであった。
打撃選手がテイクダウンを切るのではなく、倒されたけど大逆転の隠し技として三角絞めを使った…といえばアンデウソンシウバvsチュール・ソネンを思い出す所でもある。


矢地祐介は、大逆転で勝てて良かったけど、70キロ級はこれから外国人とやっていくとやはりしんどいだろうね、と思いました。


・視聴率は…低いんだろうけど「さりとてフジテレビはここまで投資したRIZINを手放せない。何よりRIZINに代わる企画があるわけでもない」という状況に甘えて、このまま脛をかじらせてほしい所存だ(笑)

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「喧嘩日本一」ケンドー・ナガサキ逝去~MMA黎明期の登場人物でもある

ケンドーナガサキさん、突然の訃報。
数日前までお元気でイベントなどに登場していたり、 武藤敬司に「マスターズプロレスリングに出てよ」と依頼されて快く OK していたり、まだまだ元気だったようだが、やはりあの落としだと突然体調を崩すということもあるのだろう。まことに残念だ。。

さて個人的には、それほどにケンドー・ナガサキが気になる大物レスラーだったということはないんだよね、実は。

たぶん桜田はなぜか人数合わせのような形でドリームマシンと名乗って、正体不明の覆面レスラーとして戦っていた。めっちゃ中堅。 飛行機投げを見せていたような気がするが、記憶は曖昧模糊としている。
ナガサキを強く意識したのは、間違いなくザグレートカブキブームが来てからで、 その第2大人気ぶりからプロレス雑誌は数々の「海外でオリエンタルギミック(当時はギミックなんて言葉は使われなかったが)で戦う日本人レスラー特集」みたいなのが多くて、その時にカブキに次ぐ2番手として登場するのがケンドーナガサキだったのだ。
だから子供心に「じゃあ次はケンドーナガサキが、そのギミックのままで日本に戻ってきてよ!そしてカブキとタッグを組んだら強い」と思ってて、そしてその想像のまんまに「プロレススターウォーズ」の中ではその夢のタッグが実現したんだよ。うわーん。


しかし!仁義なき新日vs全日の興行戦争の中で、ナガサキこと桜田は全日本から新日本に移籍。移籍するのはいいんだけど、その頃プロレス界でもー一つ席巻していた、映画「ランボー」の人気にあやかって、迷彩服を着込む程度の中途半端な軍人ギミックで活躍する……という方をなぜか彼はチョイスし、ランボー・サクラダの名で迷彩服でリングに上がったのだった。そして同時期に新日本のスター候補としてやってきたコンガザバーバリアンとかに、なんかリフトアップされて…まあ、ちょいやられ役の職人的な位置で 落ち着いて、なんかそのもったいなさ感だけ逆に一番覚えてる。
その後、新日のタッグリーグ戦でついに剣道着にペイントのオリエンタルギミックを解禁、 そして傍らに控えていたのが、忍者ギミックのミスターポーゴ。この男も海外で暴れている一人だということだったが実は予備知識がなかったので「?」状態だったし、結局待遇的にも、そのタッグリーグで下位グループに入るような位置に落ち着いてしまった。 それこそカブキなみに売り出せばもっと人気が出たような気がするんだけど新日本に来てみれば、彼らは中途採用グループに過ぎず、それを上位に持ってきて生え抜きの嫉妬を生むような必然性もなかったし、実際のところカブキも含めて、そもそも日本でトップを取ってやる!というガツガツしたところは、アメリカで十分に食えているからこそ少なかったのかもしれない。

その後、 SWSに行ってからの存在感も正直少ない。ただこの頃から、藤原喜明にスポットが当たるような形で「実はプロレス界には道場で恐れられている、『陰の実力者』がいるのだ」という話が流通するようになり、 そこで時々ケンドー・ナガサキの名前が上がり始めているのを覚えている。逆に意外感があったので覚えているのだ(笑)。
そして大仁田厚からのインディーブームで、『インディーの中では十分知名度があり集客力があるレスラー』として扱いが大きくなった。鶏口となるも牛後となるなかれとはよく言ったものだ。そしてその時にフューチャーされる彼の売りは、さっき述べた通りの「影の実力者」そして「喧嘩日本一」だった。

おそらくその頑丈そうな巨体も含めて、日本のプロレス界でそしてプエルトリコアメリカマットでそう呼ばれたことはまさに根も葉もあったことなんだろう。

ただ、そんな人達が1993年に始まった「なんでもあり」の試合、のちにMMAと呼ばれるNHB(ノーホールズバード)の試合で上位に行けるかどうかは、当時は全く未知数だった。ケンドーナガサキは結果的に「そうではない…プロレス界の用心棒とかポリスマンとか言われる人ではなかなか勝てない」という例の一つとなった(桜庭和志はダニエル・スバーンの活躍はまた別ものとなろう。)。それが一緒の先駆けで、衝撃を持ったニュース、試合が大きく扱われたのは逆にせめてもの慰めかもしれない。


その後は申し訳ないが、プロレスラーとしては一種の「余生」であったともいえるだろう。だけどプロレスというのは、その余生に、味や芳醇さを兼ね備えている世界でもある。

全盛期の、海外マットを渡り歩いた武勇伝、あちこちで行われた有名レスラーを向こうに回しての不穏試合の回想(ブルーザーブロディをビビらせたとも言われる)。外国で客を引きつける様々なプロレス頭、そして日本プロレスや全日本新日本、 SWSやFMW、大日本を渡り歩く中で必然的に目にする、耳に効く業界内の暗闘…


こういったものについて晩年は口にし始め、トークショーや取材では時々「危なすぎて内容を載せられない!」と逆に取材者が嬉しい悲鳴を上げるほどぶっちゃけた話もし、自伝も残してくれた。




天寿を全うしたとは言えない若さであるが、それでも多くのことをファンと歴史のために残す時間を持った上でのお別れだったといえるかもしれない。

だから、あまり寂しさを感じずに彼を送り出したいと思う。
ありがとうございました。

ケンドー・ナガサキ自伝 (G SPIRITS BOOK)

ケンドー・ナガサキ自伝 (G SPIRITS BOOK)