INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ナポレオン覇道進撃」最終回掲載誌(ヤングキングOURS 24年8月号)は、完結記念で表紙や色紙寄稿、企画ページなどありました(購入保存しておけ)

ナポレオン覇道進撃22年の完結


まだ掲載誌が店頭にある時に紹介すればいいじゃねぇかよう、と自分でも思うんだが、ほら締め切りを過ぎてから宿題や仕事にかかる人いるやろ、あれだあれ。
まあ、通販とか電子書籍購入とかまだ間に合うからね、そこはそれだよ。



ナポレオン覇道進撃、最終回は実質的に一話前で、今回はちょと愉快なエピローグ、という感じなので、別に紹介は省略してもいいんだが……。
そもそも最終話それ自体は、完結巻が数日前に発刊されたので読めるし。

最後の戦場であるワーテルローの戦いに大敗し皇帝を退位したナポレオン。勝利のため走り続けた男の最期…死してなお偉大な皇帝は伝説から神話へ…。万感の終幕!20年を超え皇帝ナポレオンの生涯を描いた西洋大河ロマン、堂々完結!!


ちなみに最終盤に至るまでの息もつかせぬ展開はその都度レビュー済み。史実的に面白い上に長谷川のワザマエがミックスされたのだ、面白い以外になりようがない。
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ただ、上に紹介したように、何しろ22年の連載完結なので、雑誌上では当然これまでを振り返る企画ページとか、他の連載陣からの「お疲れ様色紙」が寄せられる、それは当然でありましょう。

ナポレオン覇道進撃 完結祝色紙

ただ!!こういう寄せられた記念色紙グラビアとかが!!!単行本とかムックなどに収録されたりするのは!一握りで!!
こういうのは、その雑誌に掲載されたら!!そのままになるのが大半なのだ!!!


で、あるから、上に示したように電書でも実物でも、最終回掲載号は抑えておいたほうがいいですよ、という話。


そこを紹介しておかなきゃ、気づかないで機会を逃す人もいるかと思うので、いま思い出してかいておいた。




書泉グランデで原画展



この人が編集長だったみたい…「完結まで続ける、それが難しいのだ」

【続報】青山繁晴議員の扱いは、現在こんなん(共同通信)

この話の続報
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なんでも「ワイドナショー」でこの論点が出てたとか。



で、共同通信の表。

青山繁晴議員を欄外に置く表

ザ・
がんば
れ。

【嫌な話】関東大震災の或る自警団参加者、自らを「パリ・コンミューン」になぞらえていた、という…。

日付が変わったが…いや、日付が変わったからこそよりその日に近くなるのか、1日に関東大震災が発生し、その後、その震災や火災を何とか生き永らえた避難した中で、朝鮮人、あるいは朝鮮人と誤認された人々が、各地の「自警団」によって惨殺されるという事件が勃発した。

小池百合子都知事がメッセージを追悼式典に送る送らないという話題が、逆に注目される契機になっている。

【記者】ありがとうございます。2点目です。来月1日で関東大震災から101年を迎えます。1日に行われる関東大震災直後の朝鮮人虐殺の犠牲者追悼式典の実行委員長が今週月曜日、追悼文の送付を改めて求める会見を開きました。知事の受け止めをお願いします。

【知事】これはもう何度もお答えしておりますけれども、慰霊大法要を行います。都知事として先の関東大震災及び大戦で犠牲となられた全ての方々への哀悼の意を表させていただいております。震災による極度の混乱下での事情で犠牲となった方々も含めまして、全ての方々に対して慰霊する気持ちを改めて表すということで私自身は対応してきたわけでございます。この考えは今後とも変わらないということです。

【記者】ありがとうございます。そうしましたら各社さんお願いします。知事の指名を受けてから社名とお名前を名乗った上で質問お願いします。

【知事】朝日新聞さん。

【記者】朝日新聞の土舘と申します。今の質問に関連して2点と、また別に1点、計3点お伺いできればと思います。今の朝鮮人虐殺をめぐる史実について、知事は明確な態度をあまり示していないように、これまでの都議会等での答弁等ありますが、改めて朝鮮人虐殺の史実についてのご見解、そして1日にですね、追悼式典と近くで開かれる朝鮮人虐殺と追悼碑の撤去を求める団体「そよ風」が同じ時間帯に集会を予定していると告知しております。都は、この団体への公園使用許可を出しているんでしょうか。というのも、この団体、昨年も集会での参加者からヘイトスピーチと都が認定されたような集会を開いているというところで、人権尊重条例では公共施設の利用制限の基準があると思うんですけれども、その適用についてどう考えているのかというところで、まず2点お伺いさせていただければと。

【知事】3点目もどうぞ。

【記者】3点目についてはですね、一部報道で神宮外苑の再開発を巡って、都が昨年9月から、樹木の保全策の具対策を事業所側に要請していましたが、報道では約100本を減らす、樹木伐採を100本減らすだとか、イチョウ並木と球場の距離をセットバックして、10m近く予定よりも取れたとかという内容が出ていますけれども、この情報について認知されているのか、都として把握されているのかというところを教えてください。

【知事】まず、追悼文関係でございますけれども、そのそもそもの認識ということでございますけれども、様々な研究が行われていることを承知をいたしております。そして対応について、公園の占用許可の申請については、都市公園法などの法令に基づいて適切に対応してまいります。

www.metro.tokyo.lg.jp


この朝鮮人虐殺事件について、事実関係を否定する意見も一部にはあるようだが、もちろん各地で、混乱状況の中で発生した以上、たとえば一けたまで正確な死者数を数えるのは勿論不可能だが、逆にいえばその何倍も、無かったとするのは不可能だ。
このへんは言うまでもない話で、早めに本題に入らにゃならんのだが、記者会見引用したらスペース取っちゃったな。


よし本題。
この事件について、ちょっと新書で知見を得たので、そちらを紹介したい。

それが佐藤卓己「流言のメディア史」。

関東大震災に限らず、様々なトピックを書いている…というかもとは雑誌連載コラムだったな。
4月にこのテーマで、一回この本を紹介していたのだった。
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ただ「流言のメディア史」である以上、関東大震災という日本史上に残る流言の一大事件、扱わないわけがないわけで…しかし、意外なところで意外な人物の、意外な記録を発掘し、紹介しているのだ。
その名は中山忠直(中山啓)。教科書に載るような歴史上の人物ではないが、ウィキペディアには項目があってもいい人物、というべきだろう。いや、あってもいいというか、現にあったよ。今調べた。

ja.wikipedia.org
中山 忠直(なかやま ただなお、1895年4月26日 - 1957年10月2日)は、日本の詩人、著作家[1]。宇宙のイメージを盛り込んだ詩作品などによってサイエンス・フィクション (SF) に連なる先駆的なものと評価されている[1]。マルクス主義を経て、勤皇社会主義と称する極右思想に拠り、さらに日本人=ユダヤ人同祖説に立って天皇ユダヤ人の血を引くと論じて著書の発禁処分を受けた[1]。「皇漢医学」の名称の下に漢方医としても活動し、製薬事業を興すとともに、関連する著作も書いた[1]。筆名として、中山 啓を用いた時期がある

そう、SF的な香りのする詩作をものしたこの「勤王社会主義者」は、関東大震災の中で自警団活動に勇んで参加した、その記憶をわざわざ(悪趣味な)詩にしているのだ。
いや、歴史を隠蔽されるより、詩という形で凍結された情景と心情は、後世への遺産となったのか…



佐藤卓己氏は、以下のように詩を紹介している。

流言のメディア史 パリコミューンと自警団

中山は「火星人来襲」を「気味の悪い空想小説」と否定しているのだが、その一方で地球の人類による「他の星の征服」を予想している。その「征服」と一四年前、一九一〇年の韓国併合のイメジが重ねられているか否かはともかく、中山が大震災での「朝鮮人来襲」をリアルに感じていたことは、『火星』所収の二作品、「日本刀」と「妖鬼」で確認できる。前者で、中山は震災時に自ら家の宝刀を腰に差した様子をこう書いている。その太刀は会津戦争を戦った「勤王の謀将」たる祖父が差した形見とある。

あの炎炎たる焰を仰ぎながら×人の放火を警戒するため
この刀をぶち込んで夜の街を歩いたではないか
すっかり武士になったりパリー・コンミユンを想像して見たりしてゐたな
白昼公然と太刀を腰にして歩き得たあの爽快さよ
いま腕をなでて憮然たるものがある すつかり自分の天下が来たやうではなかったか


このまま自警団に加わった中山の明朗さは、「妖鬼」における革命家の密議シーンの陰惨さと対照的だ。
「いやさ東京を全部焼き払らはなかったのが残念でござる」
「しかし×人騒ぎで同志打をやらせたのがせめての喜劇・・・・・・」
当時、中山自身が革命家だったことは、罹災詩人救済のために刊行された詩話会編『震災詩集災禍の上に』に寄せた「新鮮な首都」でわかる。伏字の××は「火星』収載の改訂版では「革命」と埋め戻されている。


俺達は日本を愛し日本の未来のために改造に燃えてゐたが
天なるかな地震に次ぐ大火災は改造の機をまこと早めた
日本は此儘で行けば悲惨な破壊××の外に方法がなかった
それで俺は秘かに破壊後の時局収拾の術策を考へてゐたのだ 然し幸にも災害は上よりの改造を促して××を転換してくれた

日本「改造」への意欲を新にした中山は、震災を契機に「憲法を停止してクデターによつて大化の改新を再現し得る」と期待している。重要なことは、中山のような国家改造論者の脳裏に「朝鮮人来襲」と「災害ユートピア」が並存していたことである。


…頭を抱えたくなる。
あの自警団、虐殺騒ぎが、排外主義的で外国のことなど何も知らない、無知蒙昧な「不逞の輩」な群衆ばかりだったら、ひどい事件であるが、話がわかりすかった。


だが……あの光景に直面し「俺たちはあのパリ・コンミューンだぜ」などと連想が行くってのは、「香炉峰の雪」と聞いて白楽天の詩の一節を思い出し、行動に移したという挿話と比べても遜色がない、ぶっちゃけ教養と機知にとんだ知識階級と言っていい。
そしてその教養が、日本刀を腰に差して「X人の放火を警戒」するのを留めるどころか、ある意味後押ししたのだ。


そして自分が直接見聞きしたはずの、史上例をみない大災害を「日本の未来のための改造をまこと早めた」と言い放つのである。詩のレトリックとはいえ、そこを斟酌する必要もあるまい…
それこそ自警団参加者がお上べったり、従順な操り人形だったらまだわかる。


だが少なくとも中山は「パリコンミューン」という連想に「お上が当てにならないから、自分達市民が仕切るのだ」という意味を当てはめている。すなわち”反体制”だ
だが……
という、
なんともやりきれない、嫌な話なのだ。



じつはこの話、もう一つ別の新書…最近発刊されて大きな話題になった「民衆暴力」という新書にも呼応するような内容があった。

こっちも一緒に紹介すれば話は早いのだが、スマンいつもの通り、いまは手元に見あたらない(またか)。

要は「お上なんて威張るばかりで非常時には何もできない役立たず。その点俺たちゃ勇敢さ、朝鮮人を片っ端から殺してる俺たち(度胸がある連中)こそが国の役に立つ」という、ゆがんだ自負心があった…という話だったと思う。いずれ機会があれば。

雨中の決戦ー野外大会「DEEPフェス」は競技性はともかく、或る種の”路上の現実”が反映された



あれ?試合映像が公式に公開されてる??
www.youtube.com

gonkaku.jp
2R、氷の上で戦うような状況。ともに足が滑るなか、強い体幹で打撃を繰り出す海飛はジャブを当てて西谷に鼻血を出させると、西谷のローシングルに右ヒザ! ここで崩れた西谷に左右のパウンド。足を手繰りに来た西谷に、海飛がニンジャチョークでタップを奪った。


マイ感想


この前「甲冑を着るという前提では剣術の技術が異なって当然」という話をしたけど、
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※最近、このくだりがアニメ化されたばかりらしい。


それに似た部分もあるよね。
もちろんMMAの99・999%は屋内での試合で、雨でぬれて滑る屋外の…は想定外だが”路上の現実”とかいえば、なんか納得するでしょ。しませんか。

しかし、レスリングシューズを用意して、雨の場合には履くとかはできるのかな?最近はシューズ禁止、はだしで統一してるルールも多いか。

何となくの感想

・足下が滑る状況では、鋭い踏み込みのパンチやキックを出すことができず、その結果「前手のジャブ」的なパンチを、どれだけ的確に当てられるかが重要になる。



・テイクダウンして寝技になっても、滑りやすい状況だとポジション逆転の機会も多い。一発のテイクダウン力より、何度も逆転しながら最終的に優位になる「スクランブル」の技術が重要になる?


…と思いました。

雨中のDEEP

菅義偉はいかに「政策」を実行し、台頭してきたか? 数少ない政権ドキュメント評伝「孤独の宰相」が面白かった。

自民党総裁選はまだまだ情勢は読めないながら、与論調査などでは小泉進次郎がトップに踊り出ているようだ。そしてその小泉は大きな後ろ盾として「菅義偉元首相」を味方につけているとも報道されている。

そういう点で…と同時に就任当初はかなりの人気を得ながら失速して長期政権を築けなかったという、今後の自民党にとっては不吉な前例であることも含めて「菅義偉」に再度注目していいと思う。
そういう点で格好の資料になるのが、たった1年間で崩壊した政権の顛末を日本テレビ政治部の番記者として追い続けた人物の菅評伝「孤独の宰相」だ。

改革を目指した「政界一の喧嘩屋」はなぜ総理の座を追われたのか――。
安倍・麻生との確執から、河野・小泉との本当の関係まで、
担当記者だからこそ書ける菅義偉の実像。

「歴代総理の中で、菅ほど、その実像が伝わらなかった宰相はいなかったかもしれない。一体、どこで何を誤ったのか。この6年あまり、担当記者として菅の息づかいまでを間近で感じながら取材を続けてきた私だからこそ、その真実を探し出せるのではないかと考えたのが、この本を執筆した理由の一つである」(「はじめに」より)

と言っても執筆者はただの番記者ではないというか…いやこれがある意味「典型的な番記者」なのかもしれないが、取材対象であるはずの菅と朝食、昼食を共にし、演説現行を事前に見てアドバイスを送り、人事構想を相談し…今でもこういうズブズブな関係に政治記者と政治家ってなるのかよ、と思わせるような関係なのだ。それを隠そうともしてないし。

しかし一方でここまでの関係を深めないと内部の情報は取れない部分もあるだろうし、それをこのような形で記録に残せばそれが歴史的資料として生かせるのも事実だ。この手の政治記者も自分の言い訳として「これは後で記事として発表する(この「あとで」がくせものなのだが)。だから今は内部に入り込むことを優先する」と言うんだよね。
この本でもこの柳沢記者が、いわば菅義偉陣営の「身内」に入る経緯が正直に描かれている。
・記者として踏み込むというか暴走というか、そういうやり過ぎ(?かどうか)の取材をする
菅義偉が怒って、いったん出入り禁止にする
・記者は謝罪の手紙を送る
・菅「分かればいいんだ、一緒に食事をしよう」と申し出る……

うまく記者が政治家の「懐に入り込んだ」のか、政治家が記者を「取り込んだ」のか……


まあ、その是非論は過去にも語ったことあるし、ここではそれ以上は踏み込まない。内容をちゃっちゃと紹介せねば。


そんな菅義偉が、市議会議員の叩き上げで国会議員になった、そんな1からのスタートから一国の総理大臣になるまでにどう台頭してきたか。このディティールがちょっと面白かったので紹介したい。


菅義偉が第一次安倍政権の時に「唯一、仕事ができる」とまで言われたのは事実だが、結局、彼は首相になるまでにどんな政策実績を積み上げたのか?かなり精神的に一体化したバンキシャから見た評価、ではあるが……

その一例が、日本観光客誘致の推進。この本では詳しく書かれている。


目に見える政策を

安倍政権は「アベノミクスの『三本の矢』」、「一億総活躍社会」など看板政策を矢継ぎ早に打ち出し、国民を飽きさせない演出に腐心してきた。しかし、官房長官時代の菅はこうした政策とは一線を画し、独自の道を突き進んでいた。
菅に近い官僚は、こう分析する。
「菅さんは、『タンジブル(実体がある、実際に触れることができる)』な政策にしか興味がない。目に見えて、数字で結果が分かるものにしか関心がないのが特徴だ」
その一番分かりやすい例が、外国人観光客の誘致だ。菅にとって、インバウンド政策とそが、地方創生の切り札だと考えていた。
2017年1月22日のことだった。官房長官秘書官が興奮した様子で、菅の執務室に報告に入る。
「長官、去年1年間の訪日外国人観光客数が、ついに2400万人を超えました」
政権交代前の2012年には830万人だった訪日外国人が、わずか4年で約3倍に増えたという統計が、年が明けて確定したのだ。しかし、菅は表情一つ変えずに、こう返した。「今月の数字はどうなっている?」
インバウンド政策こそ、菅官房長官時代に最も力を入れ、成果を出したものだった。スタートは、「なぜ、日本を訪れる外国人観光客は韓国よりも少ないのか」という素朴な疑問だった。そこで、各所に事情を聴くと、浮き彫りになったのが訪日ビザという規制の存在だった。治安悪化を懸念する警察庁法務省の大反対を受けたが、赤坂の議員宿舎国家公安委員長や法相、外相を集め、わずか10分で、ビザ取得要件緩和の判断を下したというエピソードの披露は、菅の演説でのお約束になった。
菅の観光政策に大きな影響を与えたのが、2015年に出版した著書『新・観光立国論』で日本のそれまでの観光政策の誤りを指摘してきたデービッド・アトキンソンだ。イギリス出身の金融アナリストで、日本の文化財の修復を手がける小西美術工藝社の社長を務めるアトキンソンは、観光立国としての日本のポテンシャルの高さを指摘し、その活用のために必要な具体策を提言した。菅は、アトキンソンを政府の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」の有識者に登用し、文化財の「保存」から「活用」への転換など、それまでの日本の観光政策を覆す具体策を繰り出していく。



その一つが、赤坂迎賓館の開放だった。菅は、まだ総務大臣だったころ、初めて足を踏みれた日本唯一のネオ・バロック様式の西洋宮殿建築に、「迎賓館という施設は何て素晴らしいのだ。自分の両親にもいつか見せてあげたい」という思いを抱いたという。そして、官房長官に就任するとすぐに、この迎賓館を国民のため、観光客のため開放することを決断する。それまでは、迎賓館は年間で約10日間、しかも抽選制で一般に開放されるだけだった。しかし、外国要人の接遇で使用されるのは、年間わずか数回。

「こんなの、国民から見ておかしいでしょ」、菅の動きは早かった。迎賓館の職員は、「接遇への影響」や「施設の保全」など開放に反対する理由をいくつも挙げてきたが、抵抗する幹部を交代させ、アトキンソンを迎賓館のアドバイザーとして送り込んだ。人事で、その強い意志を示すのが菅のやり方だ。
2015年11月、菅は赤坂迎賓館を年間約150日、一般公開することを発表する。これが観光客の人気を博し、今では、一般公開は250日間にも及び、その前庭ではアルコールなど飲食も提供されるようになり、観光拠点へと様変わりしようとしている。菅が開いた重い扉は赤坂迎賓館だけではない。京都迎賓館京都御所桂離宮など、一般の国民に閉ざされていた公的施設を一般に開放することを決めたのだ。
その他にも、菅は、「なぜ、日本では免税品売り場は、空港など限られた場所にしかないのか」という疑問から、免税制度の改革に取り組む。免税品売り場に関する規制を緩和し、さらに免税品の対象も拡大したことで、海外の観光地と同じように、街中に免税品売り場があふれた。



さらに、2016年春、菅が目をつけたのが、観光資源が豊富な北海道の玄関口、新千歳空港だった。ここには航空自衛隊千歳飛行場が隣接していたために、発着枠に大きな制限があった。そこに切り込んだ。
新千歳空港は『自衛隊が週2回は24時間訓練している』という理由で、その時間帯は民間航空機の発着ができなかった。でも内々に調べたら24時間も訓練なんてしていなかったんだよ。
あと、自衛隊は『中国やロシアの民間機が来ると、自衛隊の基地が見られてしまう』と言うんだけど、今は、衛星もあるのだから、そんなことしなくたって見られるだろ」
規制の固い扉をこじ開けようとする菅に、防衛官僚が反発する。
「そんなことをしたら、自民党防衛族の先生方からも異論が出ます」
これに菅は激怒する。
「お前らは余計な心配をしなくていい。防衛族への説明は私がやる。自衛隊が持っている基地だと思っているのだろうけど、これは国民のものなんだから、勘違いするな。ただ、訓練を本当に週2回24時間やっていて、国防上不可欠だというのであれば、私は無理を言わない。だったら、今までの訓練の実績を全部持ってこい」


結局、防衛省は、実績に関する資料を持ってこなかった。そして、1時間あたりの発着枠を2回から4回へ拡大することを容認し、さらに中国とロシアの民間機に対する発着制限を大幅に緩和することを認めた。これにより、北海道への外国人観光客が一気に増えることとなった。菅は、こうした省庁横断のインバウンド政策を次々に打ち出していく。外国人観光客急増の恩恵は地方経済にも及び、「もう二度と上昇しない」とさえ言われていた地方の地価を20年ぶりに上昇させた。外国人観光客による消費額は約1兆円から約5兆円にまで伸び、観光は日本の新たな成長産業へと育った。

この推進政策が始まってから何年目になるか数えていないがそれ以前は日本の観光客来日は「韓国以下」であったというのはもはや忘れられた感覚であろう。


もちろん観光客が増えたというのは円安の効果だ、というのはメインにあるだろうしそもそも観光客を迎えるというのはオーバーツーリズムで庶民が苦しむだけ、とか、、そもそも観光客の財布をあてにするというのが日本の地位の低下であり国力が失われたということだ…というようなナショナリズム的な批判もあるかもしれない。

わからんでもないが例えば円安に関しては「と言ってもそこの国の通貨が安くなったから観光に行きたくなった!となって実際に観光客が増える国がどれぐらいありますか」ということにもなろう。通貨安だから観光客が倍増しました、3倍、5倍になりましたという国はそうめったにないわけで、観光振興政策がやはり奏功した、といえるのではないか。

最近、まったく別方面の弥助云々で話題になったデービット・アトキンソン氏は言う…

デービット・アトキンソン菅義偉


これ以外にもこの本ではプロパガンダ的にたくさんの菅義偉の「政策の実績」について書かれていてまあ提灯的な意味合いもあると思うのだけど、こういう個別のことを知る機会もないわけでなかなか興味深い。

自分がおやっと思ったのは「携帯電話」に関する記述。後年の料金引き下げの話もあるんだが、そうではなく「携帯電話購入に身分証明が必要となる」という経緯。

菅が持つ、法務省警察庁の人脈は、菅が若手議員時代にともに議員立法を手がけたことがきっかけで広がっていった。警察庁のキャリア官僚は、当時を述懐する。
「菅さんは、銀行口座の売買を罰則付きで規制する法案を作ってくれました。嫌がる金融庁を押さえつけ、その後、携帯電話の本人確認や転売の禁止も、反対する総務省族議員を菅さんがなぎ倒してやってくれた。積極的に議員立法をやってくれる、気軽に話ができる良い先生という印象でした。一時は『治安の菅』と呼ばれていたくらいでした。こうした分野は、決して票につながらないから、ほとんどの政治家は手を付けたがらなかったのに、菅さんはやってくれましたね」

なぜ、選挙に直接、有利になるわけではない議員立法に取り組んだのか。菅は恥ずかしそうに静かな声で言った。

「せっかく政治家になったのだから、政治家にしかできないことをやりたいのは当然だろ。国民のためになるのだったら、何でも良いんだよ」


古民家再生、ジビエの普及、利水ダムの防災活用、携帯料金の引き下げ等々、菅が、官房長官として取り組んできた政策は、「なんで、こんなものを官房長官が」と思われるものばかりだ。しかし、目に見える形で国民の暮らしが少しでも良くなることをしたい、という政治家・菅の意外なほどの純粋な思いが、彼を駆り立ててきたのだ。

最後のヨイショ記述はどうでもいいんだけど、逆に番記者が書く政治家本の感じがよく出ているのであえて引用(笑)

しかし、その前の携帯電話や銀行口座の話……
自分は、マイナンバーカードである意味一区切りがついた「国家による個人の情報の把握」の、極めて重要なメルクマールは、上の「携帯電話の購入時は本人確認がなされる」だと思っている。
これでほとんど自動的に、本当に闇の世界の住人でないかぎり、99.9%の国民は何とか辿れば「紐づく」ようになったのだ。
携帯電話は外部、他者とコミュニケーションするためのツールだから、否応なくどこかで外と繋がる。それが本人確認までなされれば、どこかで一本の線でつながる。これが決まった時、そう感じて、ついに国家は匿名たる個人を容認しなくなったのだな、と思ったものだったが、今では携帯電話購入時に本人確認がされることを不思議がったり反発したりする人はほとんど いるまい。


そしておそらく治安 という面ではこの政策は確かに効果が高かったと思われる。
しかし 自民党内で普通に検討していると、この種の方針には反発が大きく なかなか進まなかった。 それに積極的に賛同し推進した政治家であった菅義偉が「 治安の菅」と呼ばれるようになった、というのは 注目に値する。
自民党の中にリバタリアン的な、権力機構の規制や 監視を忌避する潮流があるのか… だったら 試走してに興味深いが、支援者 講演者の中に銀行口座などを監視されると とても嫌な層が紛れ込んでいると考える方が自然っぽい(笑)



ともあれ、菅義偉は大嫌いだった岸田文雄(その悪口の記録も、この本には多数ある(笑))の政権時の雌伏を経て、また政争の場に登場する。

※なお「菅義偉岸田文雄が嫌いの記」は過去に引用していた…というかこの過去記事で同じ本を紹介してたこと忘れてたよ、すっかり(笑)だから一部内容が重複してる。
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まだ勝利になるかどうかは前述の通りわからないが、一応本命視もされる「小泉進次郎」政権なら、その後見役、キングメーカーということになる。その人物について、とりあえずこういう話を紹介しておきます(了)

講談社が上下巻とか5巻シリーズの最初だけ100円セールって卑怯な手を打ってきた。迎え撃つ!その巻だけ買ってやる!


はかったように、上下とかシリーズもの。

その次の巻を、定価で買わせようってコンタンだろうが……世の中には、そんな大企業の陰謀に踊らされずに、上だけ、1巻だけ買って平然としてるやつもいるんだッ!!
やったるゼ!!

Amazon.co.jp: ご愛読に感謝! 講談社文庫「100円ポッキリ」フェア: Kindleストア



中国の歴史(一) 陳舜臣

『推薦人狼』ってゲームが作れそう…上川陽子氏(自民)と泉健太氏(立憲)って、まじで推薦人20人集めに苦労してんの?

「推薦人狼」というゲームがつくれそう

www.asahi.com
 9月の自民党総裁選への立候補に意欲を示している上川陽子外相(71)=岸田派=は25日、推薦人集めの状況について「20人をはるかに超える支持をいただいている。いま推薦人をどなたに、という最後の詰めをしている」と述べた。

 ただ、「あと数人」の上乗せは容易ではない。告示日が近づき、各陣営による推薦人の囲い込み、奪い合いは激しさを増している。「上川さんに付くと言っていたのに、別の候補者に流れた人もいる」。上川氏周辺はこう明かす。上川氏自身も29日、「支持と推薦との間にこんなに大きなギャップがあることを改めて感じている」と、推薦人となってもらう難しさを漏らした。

news.yahoo.co.jp


ここまで人間関係にあからさまな「裏切り」が生まれる場は少ない。



「今度の総裁選にやっぱり女性が、きちっとした女性が立つことって絶対大事じゃない。お互いそれ思っているんだからさ、形に出してよ」

「ギリギリまで考えて、そのためにもさっきの、よその人の推薦人に心ならずもなるということはしないでね」

→上川大臣と松島議員は2000年に初当選した当選同期。2014年、法務大臣を辞任した松島議員の後任が上川大臣

▼推薦人集めは簡単ではなく…
上川大臣を支持 松島みどり衆院議員
「今14、15人はいけてると思う。でも絶えず、絶対大丈夫な人とか電話しないけど、絶えずそれを確認し合っていかないと。最後よそで取り込まれないようにウォッチをし続ける」

→22日、都内で行われた当選同期の会合で、上川大臣は参加者に支援を呼びかけか。松島議員は24日だけで地元のお祭り約20カ所を回る

▼25日、上川大臣は推薦人20人確保にめどがついたと明かす

外務大臣 岸田派 上川陽子
「20人をはるかに超える支持というか、頂いているところで、いま推薦人をどなたにということの最後の詰めをしている」

自民党の国会議員は367人
総裁選立候補のためには20人の推薦人を確保する必要が

自民党保守系グループ代表を務める青山繁晴参院議員は、23日出馬の意向を表明した会見で、“推薦人の引きはがし”があったと語る

参院議員 無派閥 青山繁晴
「岸田総理の不出馬表明があった後、強烈な引きはがしが起きた。僕はなるべくこういうのもありのままに言いたいので。40人超えてた、(推薦人)やりたいって人だけ。紙に名前書いてもらったわけじゃないけど」

「何人減ったかというと、和田さん1人になった。僕はこんな場ですけど、和田政宗議員にあなた偉いねと。和田さんは菅グループ。菅さんのご意向もあるだろうによく最後まで残ってるねと」

▼水面下では推薦人集めの動きが慌ただしく…
斎藤健 経済産業大臣茂木敏充 幹事長は“推薦人20人確保”

→党内では“大本命”とも言われている小泉進次郎環境大臣は、陣営幹部によると「支持する議員は今の時点で50人を超えている」

▼石破氏は推薦人20人を確保し出馬表明
元幹事長 無派閥 石破茂
「今度の戦いを政治生活の集大成として、総決算として最後の戦いと位置づけ、全身全霊で臨む」

石破氏を支持 青木一彦 参院議員
「今まで以上にみんな推薦人になるの、(立候補者が)11人ですか、なかなか大変な作業。私は鳥取・島根の代表ということで石破先生の推薦人に。自然体でしっかりと(推薦人が)20人集まったと思っている」

石破氏を支持 赤沢亮正 衆院議員
「推薦人に名前を連ねるということは、応援した人が勝たなければ、ある意味で現職の総理になった方の敵だったということになるので、それなりに覚悟がないと、みんな推薦人にはならない」

「昔は派閥の親分から、君は誰々の推薦人になれと言われて、言われた通りにしていれば親分が今後も可愛がってくれるみたいな、そういう関係はあったと思う。推薦人に、派閥内部に言われたのでなくてなる人たちは、さらに覚悟がある意味いる。それは自民党が変わっていく上でいい変化」

一方、泉健太氏。
というかこちらは最初から今まで「努力中」「苦労している」という報道しか目にしてないぞ(笑) 現職代表やろ。

泉健太 推薦人あつまらない

あ、今回も小沢一郎氏がこわしにかかってんのか。

 立憲民主党代表選(9月7日告示、23日投開票)で再選を目指す泉健太代表(50)が、20人の推薦人確保に必死となっている。前回代表選で支持を受けた小沢一郎衆院議員が離反するなど支持基盤が崩れているためだ。自ら議員会館の各事務所に足を運び、支持を要請。党内では「推薦人集めが難航しているのでは」との臆測も広がる。


 「世の中はそう甘くない。『泉さん、引き続き(代表)やってください』ということではない」。
(略)

 泉氏の基盤は、旧国民民主党出身者が中心の「新政権研究会」。所属議員は約20人だが、他グループとの掛け持ちも多い。前回代表選で協力を得た小沢氏とは選挙対策を巡る党役員人事で決別。小沢氏はいまでは反泉執行部の急先鋒(せんぽう)となっている。

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誰が呼んだか「解党キッド」。


応援団からはこんな意見も