INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

さらば、はみだし唐手!大道塾の東孝氏、逝く。

2021年4月3日(土)、全日本空道連盟大道塾東孝塾長が逝去。大道塾が公式HPにて発表した。

 東塾長は昨夏より末期胃がんの診断となり根治を目指し闘病していたが、2021年4月3日14時35分に永眠。71歳だった。

gonkaku.jp



miyearnzzlabo.com


大道塾。パソコンを買った時、新語登録でかなり最初に登録した記憶がある。骨法と一緒に(笑)
初期の「格闘技通信」では、おなじみだった。柔道をやりこんでいた東塾長の経歴から、打撃と組み技の融合に試行錯誤していた。
ただ、その試行錯誤の途中でUFCMMA)という、ひとつの「解」が生まれ、こういう解があります、さあどうします…?と問われた。

それに対し、一定の距離を置くという選択をした(いろいろと理由付けはある。路上でずっと寝技の攻防をできるとは思えない、とか社会体育とは少し違う、とか)わけだが、それでも大道塾からMMAに挑戦し一定の結果を残した選手もいるほか、大道塾空手、のちに「空道」はロシアに大きな根を張ったのだから、選択に間違いは無かった、と思う。


それよりなにより、夢枕獏氏と塾長や生徒らの交流の中で「空手道ビジネスマンクラス練馬支部」という、不朽の文学が生まれただけでも、大きな文化的遺産である。
いまでも自分は、最初に夢枕獏の本を読むとしたら何がいいですか?との問いに、この作品を挙げる

サラリーマンの夢とは何か? 新格闘技ノベル! ヤクザに土下座させられ、男は練馬の空手道場へ通い強い男に変身したのだが……。男なら誰しも強くなりたいと思う! ――新宿で飲んだ帰りに、ヤクザにからまれて、土下座させられたサラリーマンが、一念発起して、練馬の空手道場に通い始めた。「強くなりたい。ケンカに勝ちたい」の一心で、男の腕前は、めきめき上達した。不倫のホテル帰りに、再び同じヤクザにからまれた男は、若いOLの手前、りきんだのだが……。異色格闘技長編ロマン!

NHKで、一度ドラマ化されたが、今見ることはできるだろうか。配信など可能になっていてほしいのだが…

3分のダイジェスト動画をNHKが公開してるな。オンラインで見られるようにしてほしー!!

www2.nhk.or.jp

この時、東孝がモデルの館長を演じたのが、仮面ライダー1号藤岡弘だった。


魂、安らかなれ。


参考
大道塾からUFC(第二回大会!!)に挑んだ、市原海樹のはなし。
m-dojo.hatenadiary.com

格闘技の『懐メロ』としてのグレイシー~ベラトールでネイマンが試合(無料配信)

この無料動画がいつmで視聴できるかは保証の限りでは無いですが

www.youtube.com

この動画で、残り約1時間ぐらいのところからネイマン・グレイシーの試合がある。
もう、グレイシーの…というか柔術家の戦い方に何かの秘密や、グレイシー一族だけが知っている秘伝があるか、といえば無いのだけど、逆に言うとそんな状況でも、同じ姓を持つ一族の中から、プロMMAの水準で闘えるファイターが途切れず生まれていることだけでも評価に値する。

今回のネイマン・グレイシーの試合、それが格闘技の水準としてどれほど優れたものか、どのランクに位置しているか、それは敢えて語らないが、タイトルに記したような「懐メロ」の意味合いは、グレイシーと言う呼び名も含めて込められていると思うところです。


日本人選手の参戦とかメインイベントとかはあるけど、そんな感じでちょっと目を引いたのは、グレイシーの試合でした。

Gracie Jiu-jitsu: The Master Text

Gracie Jiu-jitsu: The Master Text

  • 作者:Gracie, Helios
  • 発売日: 2006/06/30
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遠方から付け狙い、敵の反撃には距離を取る…「パルティアンショット」やベドウィンの怖い戦術について

天下の少年ジャンプに登場したゆえ、ちょっと話題になった単語「パルティアンショット」。

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パルティアンショット



捨て台詞
ここでは、捨て台詞としての "parting shot" および "Parthian shot" について解説する。

「(立ち去る前に発せられる)捨て台詞[注 2]」を意味する英語の慣用句 "parting shot(日本語音写例:パーティングショット)" は、上述の英語 "Parthian shot" と同根語の関係にある。ここに見られる "parting" は、「パルティア」の古代ギリシア語名に由来しており[ E: parting < part < L: Parthus (="Parthia") < grc: Πάρθος (Párthos. ="Parthia") ][注 3]、つまりは "Parthian shot" と同じ語源から発しているわけである。そしてまた、"Parthian shot" のほうも、"parting shot" と同じ意味をも持っている。

"fire [leave] a parting shot" は、「(立ち去る直前に)捨て台詞を吐く」を意する慣用表現である[5]。"deliver a parting shot" は前者より意味が心持ち柔らかい。his parting shot was "drop dead". を和訳すれば「彼の捨て台詞は『消えうせろ』だった」となる。
ja.wikipedia.org


自分がこの「パルティアンショット」という言葉を、比喩的な用法の「捨て台詞」を含めて知っていた経由は覚えている。アイザック・アシモフの書いたローマ通史だ(具体的な署名を失念…翻訳された選集の一冊)。
なぜそんなに印象的だったのか、やはり歴史の「主役級」である古代ローマの「(カルタゴ亡き後の、二代目の)ライバル役」というとこで注目したんだろうな。
そしてまた、鎧と剣と盾と投げ槍の重装歩兵のローマ軍を、機動力と遠距離打撃でほんろうする遊牧民の軍隊、というビジュアル、そしてそれが現代の用語になっている面白さ、みたいな。
まあ日本語(に移植された漢語)だって、苦肉の策から背水の陣まで古代の軍事的な故事が慣用句になっているので、あちらの文明圏の方から見ればナニソレおもしれー、なのかもしれんな。


しかし、遊牧民族はその生活様式と文明ゆえに、弓と馬術は「必須教養」であり「必需品」だった(これはこれでハードで、どっちもへたっぴだったらおそらく社会の落伍者、リアルに生命すら保ちがたい、であろう)わけだが、それはすなわちそのまんま「無双」「ウルトラスーパーデラックスマン」なわけですよ。馬に乗って弓を射られるってことは、自分が体高2.5メートル、体重600キロ、時速は最大70キロ、遠方の敵を倒すビームを放てる超人……に変身するに等しい。
そうなったら、正義の味方にもなり得るだろうが「ヒャッハー、この力を使えば金銀財宝から奴隷まで略奪のし放題だぜ!!」てな発想になっても前近代ではおかしくない。
ましてや、農業民は草原に鍬を入れ、モンゴルのほうの言葉で言えば「緑の大地を黄色くする」、利益相反の関係だ。
そこで対立する連中、かつては俺たちの馬パワーにかなうはずもなかったが、こざかしくも鉄の剣や鎧で武装するやつらは確かに手ごわい。なら、まともに相手して「馬体突撃」で蹴散らしてやってもいいが、奴らは長槍を構えたり、「方陣」を作ってきやがる。そうだ!なら遠方から矢を射るのはどうだ。奴らが走って間合いを詰めようとするなら、その分だけ馬を駆って離れて、同じ距離を取り続ける…。


この「自分だけが攻撃できる遠距離にいて、一方的に軽いジャブ…相手をそれだけでぼこぼこにする」
といえば、我らがセーム・シュルトK-1を蹂躙した時の戦法ではないですか。
www.youtube.com


ちなみに鎌倉から戦国時代にかけての武士は、鎧に乗って太刀・槍を持ちつつ、そしてメイン武器は和弓なので、あれを「重装騎馬弓兵」という普遍的な呼び方に言い換えるとその戦法の理解も進む。
突撃力も、遠方射撃力も両方もつ訳で、それがかなり軽装の形で弓だけに特化する騎馬弓兵や、槍だけ持ち頭からつま先まで鎧に包んで、突撃力だけに振り切った西洋の騎士たちと比べて、「どっちの能力も備えていて有利」か「中途半端で劣っている」かは、まさに運用の妙でしょうな。



そして時代は下り、フランス革命からナポレオン戦争時代に移る。
この辺になると、かつてオスマントルコの脅威に怯えていた欧州も徐々に非西洋世界との武力の差を広げていき、後の帝国主義への扉を開くことになる。この時のナポレオンのエジプト遠征も結局この戦闘では、かの地の前近代的武装をナポレオン軍は次々に撃破。カイロを開城と降伏に追い込む。

だが…そんな状態であっても、地の利を生かしたエジプト土着の軍隊にフランス軍は散々悩まされる場面もあった。
つまりは画像のようなやり方だ。

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ナポレオン軍を付け狙う、ベドウィンの戦術は怖い(池田理代子エロイカ」)
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ナポレオン軍を付け狙う、ベドウィンの戦術は怖い(池田理代子エロイカ」)



これは行軍していくだけである程度の兵士がも脱落しそうな、過酷な環境がないと有効でない戦術だろうし、射程距離がナポレオンの時代より伸びてしまえばさらに難しくなるのだろうけど…ただかなり怖くないですか?

勇猛果敢なベドウィン武装集団が、自分たちの軍隊を常に見張っている。どうにも目障りでも、こちらの火力の射程外におり、そいつらを追いかけていったら自分たちの行軍が足止めされるだけ。
そして厳重な警備体制を構えながらの行軍中、わずかに歩き遅れてその勢力圏からはみ出ると、ここぞとばかりに少数の ゲリラ的ベドウィンが突撃、半月刀でその首をはねてまた再び離脱、再度敵の軍隊につきまとう…。


ナポレオンの強さの秘密は機動力…簡単にいえばこの時代は特に「徒歩の時代」なわけで「兵士を急き立てて、かなり早く移動させる」ことができればそれ自体が大変な軍事的優位。
だからフランス軍は行軍でかなりのムチャをしたし、脱落者も多かったのだろう。

日本語では端的な名称がありますね、「送り狼」と。

ただ本当に送り狼なる風習があるかと言うと非常に微妙で伝説・俗説の類らしい。

上に言ったように行軍自体のかなり過酷な環境と、そもそも圧倒的な機動力の性あって初めて成立する戦法なので、軍略として成立するかは分からないけど、
それでもいろんな連想が繋がってこんなことを考えたのでメモしておきました。

今夜「ましろのおと」放送 /「ブラックラグーン」youtubeでも配信 /半ばから「セスタス」

今年春のアニメ放送作品は「セスタス」だけ押さえとけばいいや、と思ったら、見落としがあった
ちなみに「セスタスは」10巻も発売された(続編の「死闘伝」のほうね)

規格外の巨人・ロキに対し、型破りな戦略を駆使して闘うギデオン。果たして勝者は…?そして、いよいよ迎える2回戦最終試合――。神速とも称される「才能」を遺憾なく発露させるアドニスと、たゆまぬ「鍛錬」を重ね強さを錬成してきたカーメス。対極と言って良いほど理念を異にする二人の戦いの行方は…?セスタスシリーズ第2部、無縫の第10巻!!

セスタスの放送は第二週あたりから。覚えてる

ブラックラグーンがTOKYO MX放送、youtube無料配信

MXでは、もう第一話は終了して2話からなんですが。

https://s.mxtv.jp/anime/blacklagoon/


第2話Mangrove Heaven

2021年4月6日放送

酒場を襲撃したのは、エクストラオーダー社という「戦争屋」から派遣された傭兵たちだった。岡島緑郎=ロックは、事実隠蔽のために会社から見放されたのだ。なんとか海へ逃げたラグーン号を、傭兵たちの乗る戦闘ヘリが追撃する。圧倒的な戦力差にラグーン号は追い詰められるが、相手は距離を獲ったまま攻撃してこない。それなら挑発に乗って、ヤツラを月まで吹っ飛ばしてやろう。ロックはとても正気とは思えない作戦を口にする。<

そんで、東京都民じゃなくてもyoutubeで見られると。

www.youtube.com

ちな





ましろのおと」本日から

もうひとつ、本日深夜からTBS系で放送される「ましろのおと」というのは、自分も原作を5,6巻まで読んだぐらいなんですが、音楽家が腕一本で成り上がり、仲間と出会っていく…

その音楽が大衆人気ドンピシャではないが、長い伝統と深みがあるという点では「BLUE GIANT」に似ているんです。

mashironooto-official.com


BLUE GIANT(1) (ビッグコミックス)

BLUE GIANT(1) (ビッグコミックス)



以上、お知らせのみ

【仮説】島本和彦はライバル庵野秀明(2021)に、既に1991年に「勝利してた」かもしれない(※あの作品への、ネタバレ注意記事)

内容はタイトルの通り…と言っても「何言ってんだこいつ」「どうやって彼らは時空を超越するんだ?」とか思う諸君もいるだろう。
まあ聞け。


ただ、多少は作品のネタバレをしないと語れないのでそこはご了承をありたい…と言ってもネタバレするのは主に庵野秀明「シン・エヴァンゲリオン」の方ではない。島本和彦燃えよペン」の方でありまする。

燃えよペン (サンデーGXコミックス)

燃えよペン (サンデーGXコミックス)


島本氏の代表作の一つである「吼えろペン」は、実はこの「燃えよペン」の続編である。
1990-91年に掲載されたこの作品…実は「漫画家漫画」は、当時としては極めて珍しいものであり、本人も「自分的にはかなりひきょうなジャンルに手をつけたという意識はあった」とあとがきマンガで語っている。それが今では完全な1ジャンル。だが、こうやって時代というのは音を立てずに変わっていくのだろう。

閑話休題
その第6話「熱血指南炎上編」では、プロダクションに出入りする古いのアシスタントが、自作を主人公の漫画家・炎尾燃(※「アオイホノオ」と字が違うのは仕様です)に読んでもらい、指導を受ける。

最初は、好きな女の子に告白して OK を受けるいう平凡なラブコメだったのだが「インパクトが弱い。」と炎尾はダメだし。

悩んだそのアシスタントは…「主人公は後輩女子に好かれて付き合い始めるが、元から好きだった年上の女性に後から告白され、悩んだ末に後輩女子を振って本命の年上女性と結ばれる」という話を執筆。

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島本和彦燃えよペン」はライバル庵野秀明の動きを予言していた?

すると…炎尾は大ゴマを使って、怒りの鉄拳制裁!!!うなれ うなれ国電パンチ!!(ちがう)
そして

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島本和彦燃えよペン」はライバル庵野秀明の動きを予言していた?

と、作品の出来じゃなくて作中主人公のモラルを問い始めるのである。
(あれ?数十年後に気づいたが、これ高橋留美子めぞん一刻」批判なんじゃねーか?)


そのギリギリとした詰め方に、アシスタントはこれが自分の実体験に由来するものだと告白、 実は今でも悩んでいて、どう結末をつければいいのかと教えを乞う。


それの炎尾燃の答えは……

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島本和彦燃えよペン」はライバル庵野秀明の動きを予言していた?

(見開き超大ゴマ)
この時点で、 すでに時間を超えて1995ー96年放送のTV版「新世紀エヴァンゲリオン」に完全勝利!!!


ちなみにこれとは別のエピソード、第2話においてこういうシーンもある。

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島本和彦燃えよペン」はライバル庵野秀明の動きを予言していた?
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島本和彦燃えよペン」はライバル庵野秀明の動きを予言していた?

島本和彦 、すでに芸大でライバルだった男への包囲網をこの時点で敷いていたのだ……。


しかしシンの、いや真の決着は今年、2021年に訪れたのである。


さっきのアシスタントの話に戻るが、
アシスタントは炎尾の一撃で目が覚め、模索する中でついに新しい結末にたどり着く。


その内容は…以下の画像の通り

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島本和彦燃えよペン」はライバル庵野秀明の動きを予言していた?


もはや説明不要。
その女性キャラが、眼鏡をかけていて、深刻な悩みを抱える主人公に(敢えて?)明るく、飄々としたふるまいをするところまで的確に予言している。

これにて、島本和彦は1990-91年に描いた『燃えよペン』において、すでに2021年の庵野秀明『シン・エヴァンゲリオン』に勝利していた」という私の仮説の説明を、述べ終えるものであります。

(了)

先行ツイートのこちらに敬意

実はこの話は思いついてから、資料となる「燃えよペン」(もう30年前の漫画だとは…)を実家から発掘するまでの時間がかかったのだが、その間にこのようなツイートがあった。

同じ仮説に到達していた、先行者に敬意。



ついでに「邦キチ!映子さん」エヴァ編3作目の紹介

本日、3作目が配信されておりまするので、紹介いたしまする。
comip.jp

スエズ運河再開に、ロイズから来た「あの人」が関与しているかもしれない…(蝉川夏哉)






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3年B組一八先生 MASTERキートン

あ、これは本物じゃねえや、麻雀のあっちのほうだ。

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日刊スポーツの記事削除&謝罪で「コタツ記事」再論。「取材せず」が理由なら、そっちの悪影響のほうが大きいぞ

???ばかりの記事です。

日刊スポーツは2021年3月27日の配信記事で共産党の前衆院議員、池内さおり氏のツイッター本人への確認取材をせずに記事化しました。記事には「池内さおり氏、駅で男性にぶつかられ『女性差別だ』」という見出しを付けました。これに対し、記事は被害者を黙らせる圧力につながるという指摘を複数受けました。池内氏への誹謗(ひぼう)中傷につながった点につきましても配慮が足りませんでした。記事は取材がなく不適切と考え、3月29日午後2時前に削除しました。同時におわびを掲載し

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202103270000241.htmlwww.nikkansports.com

日刊スポーツ、圧力を受け記事削除?

「取材なかった」が理由なら、削除記事は100や200じゃ済まないぞ。権力者(前議員)から言われたら待遇違うの?

今は削除された、日刊スポーツが「不適切」とする記事、遡って確認することができた。

(削除前の)日刊スポーツ記事は、以下のような話である


共産党の前衆院議員、池内さおり氏が、駅のホームで激突した男性とのやりとりをつづり、「あまりに失礼。女性差別だ」と訴えた。

池内氏は26日、ツイッターで、電車に乗ろうとした際の出来事について書き出した。「今の時間は全く混雑無し。電車が到着しスピードが落ちる。私の乗り口は降りようとする人も2人。私から見て右側から出ようとする乗客を目視し、私は左寄りのスペースから乗ろうとした」と状況を説明し………(後略)

自分なりに「ファクトチェック」してみたが、事実と異なっているところは見つけられなかった。

「やりとりをつづり」…確かに、つづっている(ファクト)。
「訴えた」…確かに、訴えている(ファクト)。
「状況を説明」…確かに、説明している(ファクト)。

後半部分も、事実関係で誤報をしたと思える部分は無かった。

何がどのような理由と経緯で、削除とお詫びに至ったのか、説明ではさっぱり具体性を欠いている。というか、記事のどの部分がどういうふうに問題だったのか、何にも答えてないに等しい。
ここに、お詫びの「第一形態」らしきものが、画像で残っている。

こちらも併せて見ると、…ますます感じるのは「日刊スポーツの対応の不可解さ」のほうである。百も二百も質問があるし、
どんなふうに、どこからこの記事にクレームなりご意見なりがついたのであろうか。
その謝罪・削除対象が、衆参に一定の地歩を占める政党の前の衆院議員であり、次回選挙でもその政党から出馬を予定している「権力者」であることが関係している、そういう疑念を持たれても仕方のない状況ではないか。

というか、今の状況ではそちらのほうが自然よ?


SNSやTVで『こんな文章が、発言があった』だけ報じる「コタツ記事」が<安易>なのは然り。されど<無用>に非ず。時には、はてブも多数つく(笑)


この話は、何度も書いたので過去記事に任せる。
「基調演説」もかいている。

m-dojo.hatenadiary.com

(前略)…どれも、ツイートの内容から外には出ていない、いわゆるネットを見ればそれだけでかける「コタツ記事」だ。


・・・・・・・・・・ただ、何度か書いているかもだが、「コタツ記事」というものは決して間違いではない、と思っている。
ネットの情報量はあまりにも膨大であり、誰かがどこかで何かを「書いた」ら、それですべての情報が完結しているわけではまったくない。「…というところに、…という話がかいてあったよ。これまでの経緯がこれこれであり、だから重要だよ」というのを、誰かが…あるいは自分自身で紹介しないと、その情報が埋もれるだけである。
タツの中からネットに接続し、モニターを眺めるのは2018年の「現場」であり、あさま山荘や内戦のユーゴスラビアに行くのと同じ…とはいわないが、それでもそこが現場であることは、善悪を超えて事実として正しい。
(略)

こちらでは、そういう記事の持つ意味(有用性)についてもう少し具体的に書いている。
m-dojo.hatenadiary.com

「こたつ記事」なる言葉の語源調査
m-dojo.hatenadiary.com


というか、日刊スポーツさん…
ツイッターを本人への確認取材をせずに記事化しました」
「記事は取材がなく不適切」
「指摘を真摯に受け止め、今後は取材、記事制作過程に一層留意」

するという同紙だが、4月1日のサイト掲載記事では

麻木久仁子、BTSの人種差別抗議に「心が震えた」

[2021年4月1日8時53分]


タレントの麻木久仁子(58)が、米国で急増するアジア系住民に対する憎悪犯罪ヘイトクライム)をめぐり、韓国の人気男性音楽グループ、BTS防弾少年団)が抗議したことを「素晴らしい。心が震えた」と称賛した。

麻木は3月31日、ツイッターを更新。BTSが…(略)
www.nikkansports.com


取材の背景を全部確認することはできないが、これってどんな「確認取材」があったのだろうか。記事を読む限りは、確認取材をしたと推測するような部分がないこと、賛同してくれると思う。

もちろん、だからと言って事実誤認ではない。
知る限り、
「称賛した」⇒称賛してる(ファクト)
twitterを更新した」⇒更新してる(ファクト)


である。逆に言うと、いわば根本としての記事の性質は、池内記事(削除前)も、麻木記事も同種のものだ。

それはそれで、記事として「安易だ」といえばなるほど安易だが、逆に言えば「安易」以下…なにかの謝罪や削をしなければいけない類のものではない。そうなったらとしたら、よっぽどの、どこかからの「圧力」を疑うに足る。



だいたい同種の「安易」なコタツ記事、時としてはてブもたくさんつくからな(笑)

先に挙げたダルビシュの張本批判記事
現在、ブクマ516。
b.hatena.ne.jp


田村淳の聖火ランナー辞退記事
現在、ブクマ627。
b.hatena.ne.jp

黒岩神奈川県知事の、小池知事との交渉裏話記事
現在、ブクマ349。
b.hatena.ne.jp


どれも、どこを切ってもピカピカのこたつ記事。
だけど、まあみんなニュースとしての有用性を理解してるし、事実関係の間違いもないからブクマしたんやろ?そして、ほとんどの人は「これがこたつ記事か、そうでないか?」ということが脳裏に浮かばなかったんじゃないか(笑)
自分がこうやって例示できるのは、記事やブクマで「これはこたつ記事だけど…」と嫌味な指摘をし続け、一種のタグ付けをしてきたからでありんす。

その後も日刊スポーツ、絶賛こたつ記事を掲載中……




その「効果」論(いわゆる犬笛論)

id:b-itoh1975 氏のこの記事に、
benitoh96.hatenablog.com
こうブクマをつけたのでそちらで。

これは変な理屈で、例えば杉田水脈の発言が(批判的に)報じられた結果、実際に逮捕に至る脅迫事件まで発生したが、それは予想できた筈だ、報道した側の責任だ、とはならぬ。百田尚樹も次々ツイートは記事化されたな
https://b.hatena.ne.jp/entry/4700489967329733954/comment/gryphon

もっとさかのぼって、こんな事例を考えてみよう。

m-dojo.hatenadiary.com

今回の話で考えると、講演会の妨害行為をするぞ、というのは、そのまえの講演会への抗議のなかに、「妨害行為をしてでも潰せ!!」という”犬笛による命令”があったのですかね、なかったのですかね。何しろ「犬笛」だからふつうには聞こえない。その人には聞こえたかもしれない…


なあんてことはない。そもそも「犬笛」って概念がムリあるんだわ。いや、そういう概念を作ってもいいけど、それなら「今回の妨害行為予告による竹田氏講演会の中止は、それに先立つ講演批判者が妨害行為をせよとの”犬笛”を吹いた結果だ!」という議論もなりたっちゃうで、と。
逆に、竹田講演会への批判を許容するからこそ、「犬笛政治」という概念で直接的にその論者全体を批判するというのを否定する。そういうわけです。

まあ、ぶっちゃけこの議論は2013年、靖国神社放火事件というのがあった時に語り尽くしている。…(後略)


上の靖国神社放火事件の時の話は…

加藤紘一宅放火事件に「小林よしのりや小泉の責任だ」との声があった。では、靖国神社への放火は…
m-dojo.hatenadiary.com



当ブログは一貫して、
こうやって実際に発生した放火や暴力的街宣の責任を、その対象に批判的な言論の責任とするのはおかしーだろうと言ってきたが…。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20061228#p3
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080417#p4
それはいわば、今回のような「靖国神社への放火(未遂)」が発生したとき、「靖国神社批判をしていた言論人やメディアが、『時代の空気』を作り出した!!!」と攻撃されないようにするために論じていたんだよ(どや顔)。


いや、もし佐高さんが、「たしかに私が靖国に放火してもいいんだという『時代の空気』を作ってしまった。私はこれらの放火事件(2011年にもあった)、放火未遂事件に責任がある」ということなら、賛成はしないが首尾一貫性は認めるが。

鈴木邦男氏は、かつて、その種の「やばい反響が起きそうな記事を書いた媒体に責任がある」という主張をしていたが、その発言を後日撤回したことがある。

http://kunyon.com/shucho/080414.html
…又、週刊誌に対しても、「何を書いてもいい。でも、不必要に右翼を煽らないでくれ」と言った。「じゃ、“言論の自由”への干渉ではないか」と言われ、その言葉は撤回した。情けない。確かに、何を書いても自由だ。記事を見て、「煽ってる」と思い、行動する人間が悪い。つまり、これは私も含めて、「右翼の問題」だ。「それは、そっちが解決することだろう」と言われたら、一言もない。