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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「麒麟が死ぬ」。明智光秀が引用した「論語」で、孔子が見た光景…を「孔子暗黒伝」から

こういう場面。

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諸星大二郎孔子暗黒伝」孔子が死んだ麒麟を見る
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諸星大二郎孔子暗黒伝」孔子が死んだ麒麟を見る
孔子暗黒伝 (集英社文庫(コミック版))

孔子暗黒伝 (集英社文庫(コミック版))

もとより、この作品は孔子の忠実な伝記でもなんでもない。おなじデンキでも記の字ではなく「奇」、伝奇ものだ(笑)。

だが、この場面は…というか作品全体が、やはり孔子の真実の一部をうがっている、といえる。

戦乱の中で、人々は何よりもまず秩序の回復を求める。秩序と言っても、悪い状況での秩序構築を望むものはいないから、そこに、「理想社会」のイメージを託すのは普通だろう。
しかし、そんな秩序回復の時代は来ないこともあるし、ついにやってきた秩序の回復者=新しい征服者は、みんながダビデ王でもソロモン王でも湯王でも武王でもない。麒麟を待つ者、あるいは麒麟になる者は敗北に賭けたほうが確実なものなのだ。




ちなみに麒麟の死体云々は、論語などではなく史記のほうの「孔子世家」に出てくるらしい

魯の哀公十四年の春、山東の大野で狩猟が行われ、叔孫氏の車馬を掌る微賤の士の鉏商が獣をしとめた。人々はその獣を見た事がなかったので不吉とした。仲尼がそれを見て麒麟だと言ったので、取って帰った。孔子が言うよう、「黄河が図を負った竜馬を出すこともなく、洛水から書を負うた神亀が現われることなく、(聖王が世に出てわが道を用いてくれる見込みもない。)ああ、世も末で止んぬるかな!」と。

魯哀公十四年春、狩大野。叔孫氏車子鉏商獲獸、以爲不祥。仲尼視之、曰「麟也。」取之。曰「河不出圖、雒不出書、吾已矣夫!」顔淵死、孔子曰「天喪予!」及西狩見麟、曰「吾道窮矣!」喟然歎曰「莫知我夫!」子貢曰「何爲莫知子?」子曰「不怨天、不尤人、下學而上達、知我者其天乎!」

魯の哀公十四年春、大野に狩す。叔孫子の車子鉏商(ショショウ、獣を獲たり。以て不祥と為す。仲尼、之を視て、曰く、「麟なり。」之を取りて、曰く、「河は図を出ださず、雒は書を出ださず、吾、已んぬるかな。」
https://hayaron.kyukyodo.work/siryou/siki/post-3917.html


孔子とは、晩年はひたすら絶望と諦念を抱えて生きていた。
結局彼は、世に入れられないまま終わったから…この場合は、教育者や徳人として尊敬される、ではなく、一国を、天下の政治を執るということである。
それはままならなかった。
浅野裕一氏は、孔子は比喩でなく本当に自分が天下を統べる王、になり得ると思っていたがそれは果たせず、それがルサンチマンになった、とまで考えている。

孔子神話―宗教としての儒教の形成

孔子神話―宗教としての儒教の形成

儒教ルサンチマンの宗教 (平凡社新書 (007))

儒教ルサンチマンの宗教 (平凡社新書 (007))

儒教 怨念と復讐の宗教 (講談社学術文庫)

儒教 怨念と復讐の宗教 (講談社学術文庫)


孔子の作と伝えられる歴史書『春秋』は哀公14年(紀元前481年)に魯の西の大野沢(だいやたく)で狩りが行われた際、叔孫氏に仕える御者が、麒麟を捉えたという記事(獲麟)で終了する。このことから後の儒学者は、孔子は、それが太平の世に現れるという聖獣「麒麟」であるということに気付いて衝撃を受けた。太平とは縁遠い時代に本来出てきてはならない麒麟が現れた上、捕まえた人々がその神聖なはずの姿を不気味だとして恐れをなすという異常事態に、孔子は自分が今までやってきたことは何だったのかというやり切れなさから、自分が整理を続けてきた魯の歴史記録の最後にこの記事を書いて打ち切ったとも解釈している。ここから「獲麟」は物事の終わりや絶筆のことを指すようになった。この年、一番弟子だった顔回が死去している。次いで紀元前480年には衛に仕えていた子路も殺された。
ja.wikipedia.org

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諸星大二郎 孔子暗黒伝 泰山は崩れんか 梁柱は折れんか 哲人は死なんか




谷崎潤一郎麒麟」は、孔子を題材にしているものの、ちょっとというか大いに趣が違う(題も比喩だし)。けど、まだ青空文庫にはなっていないようで、惜しくはある。


余談 麒麟がくる初回の展開で、松永久秀が注目され、こんな過去記事などがもりあがりました

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togetter.com

「アニメで健全な愛国心」も「平和のため好戦アニメ排除」も、若きゆうきまさみ先生は揶揄した、という話

つらつらブクマを巡回してたら

というのが、はてブで浮上していました。

こちらね。
b.hatena.ne.jp

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愛国を…ではなく「”正しい”創作」を否定しているパロ作品(ゆうきまさみ

で、思い出したことがあって、自分もブクマしてお知らせしようとしたのだが、そのために画像が欲しかったので探した。見つけたので、ここに記事を作り引用・紹介する次第。
2019年7月のこのツイートから孫引き引用。


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若きゆうきまさみ氏「戦争アニメは好戦的で平和の敵だ」という批判を揶揄する
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若きゆうきまさみ氏「戦争アニメは好戦的で平和の敵だ」という批判を揶揄する
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若きゆうきまさみ氏「戦争アニメは好戦的で平和の敵だ」という批判を揶揄する

※下の本に載っているかどうかはちょっとわからんですよ。
【追記】情報あり
「アニメで健全な愛国心」も「平和のため好戦アニメ排除」も、若きゆうきまさみ先生は揶揄した、という話 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

「風潮」は「early days」1巻に、ガンダムネタの方(「恐怖の疾走」)は同2巻に収録。

2020/01/21 00:50
b.hatena.ne.jp


この記事を作ったところで、正式にブクマした。

tranabe on Twitter: "この漫画好き。当時のアニメ業界の裏側・・・になるのかな?(笑) https://t.co/ubvyBQvtED"

一部ブクマに申し訳ないが、前後してゆうき氏「好戦的アニメを弾圧する反戦家」なんて作品を描いてたり…てか『ドラマの前には全て無力』って要は「反ポリコレ」。<a href="https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2020/01/19/224928" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2020/01/19/224928</a>で書いた

2020/01/19 22:54
b.hatena.ne.jp



なつかしの「軍国アニメ批判」

ちなみに、こういう意見は想像の産物かというとそうでも無くて、
その当時…1980年代、戦前からの生き残り左翼で、そのぶんいろんな紆余曲折と毀誉褒貶を受けながらも、間違いなく「革新」の論壇内では超大物(或いは、ある種の名物男)扱いされていた羽仁五郎という御仁が、「君の心が戦争を起こす」と題するカッパ・ブックスで、「ガンダムだかなんだか知らないが」といって、実にステレオタイプな批判をしてたのですよ。
実は当方、超こどもでしたけど、頭が良かったので(笑)、そういうむつかしい本もよんで戦争や平和について考えてみようと思ったところ、そんな話が載っており「へー、そうなのか 悪いアニメなのかガンダムは」とソボクに数日ぐらい信じたけど「ん…この人、なんか言ってることおかしくないかなあ?」と独力で(たぶん初めて)「本を疑う」境地に到達した、そんな思い出の本なのでよく覚えているのですよ(笑)

ちなみに羽仁五郎は、福田恆存が彼を徹底批判した論文を書いたことでも知られている気がする。この福田恆存の論文は実に傑作で、羽仁氏もやられ役としていい仕事しているので、機会あればお読みありたい。

国語審議会に関し文相に訴ふ
紀元節について
及木将軍と旅順攻略戦
当用憲法
現代国家論
郭沫若氏の心中を想う
知識人とは何か
私の政治教室
民主主義の次に来たるもの
羽仁五郎を叩く
生き甲斐という事
外交を内政に利用するな
東風西風
文学を疑ふ
フィクションという事
言葉の芸術としての演劇
独断的な、余りに独断的な
日米両国民に訴える〔ほか〕


そういえば、上のゆうきまさみ氏の短編漫画って、「平和・反戦を訴える”正しい”主張が、抑圧のこん棒になるかもしれない」ということを描いたフィクションとして、自分の中では星新一白い服の男」に続く2作目の作品だったのだな。
このふたつの関連性を、これまた自力で連想したのだからやっぱり頭のイイ子供だった気がする(笑)

横領、強盗、殺人……こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ――人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。

未読のかたはマストで読むべし。


話戻って 「右翼も左翼もモンブ省もあるか」「ドラマの前にはすべて無力だァ―――」はまさしく『反ポリコレ』なわけだが


というか、もともとブクマがついた上のツイートの作品にしてからが

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愛国を…ではなく「”正しい”創作」を否定しているパロ作品(ゆうきまさみ
という「悪役の路線」に対して、オチとして掲げているのは
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愛国を…ではなく「”正しい”創作」を否定しているパロ作品(ゆうきまさみ



実はこれ、「愛国」「健全な正義」は一例であって『「(政治的な)正しさ」、によって創作物が外から強制力を受けてゆがめられる』ことを批判している、のですね。
「ドラマの前には すべて無力だァーーーー」ってのはこれふつーに、とんでもないくらいにマックスの「ポリティカル・インコレクト」宣言なのであります。
「ポリティカルコレクト」は今の風潮としては反差別とかリベラルとか、そういう雰囲気を実際上は漂わせてはいるが、考えてみれば「愛国」や「国のために立派に戦う」も、ただ単に方向性がずれているだけで「これがポリティカルにコレクトなのであるから、そういう表現を盛り込みましょう」という話だからポリコレAとポリコレBの違いに過ぎない。あの作品の富野カントクの作中の台詞は、ポリコレAとBをまとめて吹き飛ばす「反ポリコレ」な叫びなのではある。

つまりは
呉智英氏がNHK衛星第一で超暴力的漫画「ワールド・イズ・マイン」を論じた時に、引用した本居宣長の言葉の変奏曲ともいえる。

それで一言言うとさ、突然BSから教育テレビに変わっちゃうけどさ(笑)。
これ暴力シーンさっきから出ているでしょ。良識家の人が「こういうのは…」とか言う。

(略)大学でこういうのを扱うときもいってるんだけどね、こういう、ある意味けしからんマンガなわけですよ。そういうものをどう考えるかっていうときにね、ふつう言論の自由とか表現の自由なんて言うけど、俺ね、そういうバカなこと言いたくないから(笑)、いつもね俺、本居宣長のこういうのを引用するのね(笑)。

本居宣長の歌論、文化論ですね、うた論。

(歌の中には)
政のたすけとなる歌もあるべし、
身のいましめとなる歌もあるべし、
また国家の害ともなるべし、
身のわざわいともなるべし

ってんだよね。で、そういうものがあっても人間の真実が描かれているものは芸術であり文化であるって、本居宣長が言ってるんだよね。
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※追記 原典に関する情報

「アニメで健全な愛国心」も「平和のため好戦アニメ排除」も、若きゆうきまさみ先生は揶揄した、という話 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

本居宣長の提示の4行は「排蘆小船」の一節。その後、&quot;みな其人の心により出来る歌によるべし&quot;と続くようだ / Ref. <a href="http://www.norinagakinenkan.com/norinaga/kaisetsu/ashiwake.html" target="_blank" rel="noopener nofollow">http://www.norinagakinenkan.com/norinaga/kaisetsu/ashiwake.html</a>

2020/01/20 20:17
b.hatena.ne.jp

といいながら、ゆうき氏自身の内発的な創作ルールには、しっかりと倫理的歯止めがあるのだから二重三重に面白いわけ。

そも、作中の富野カントクや、「かかる好戦的アニメを…」「やめろ たかがアニメじゃないか」も登場人物の主張に過ぎない、ということは大前提条件とした上で…


超有名、というかここで何度も紹介したのが、機動警察パトレイバーの終末がああいう展開【注意:以下、漫画版パトのネタバレになります。避けたい人は回避を】になったのは、「内海的なキャラクターがXXXXXXXら、倫理的にまずいから彼はXXXXXばならない」という作者の実にモラリスティックなポリシーゆえだった、という話だ。
それはここにて紹介しておくので再読してほしい。

togetter.com


また、かつての作品から「いまだと、この辺をこういうふうに描くだろう」というような修正案を語っていたりする。
それはこちらを参照
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追加情報 いま、池袋で「パトレイバー30周年突破記念展」って催しやってるらしい


袋のパトレイバー


機動警察パトレイバー30周年突破記念展~30th HEADGEAR EXHIBITION featuring EARLY DAYS─PATLABOR THE MOVIE~in 東京 ACT.2
開催期間:1月18日(土)~2月2日(日)
開催場所:7Fイベントスペース
営業時間:11:00~20:30

※ご入場は閉店時間の30分前までとなります。
入場料:税込800円 中学生以下は無料

2020年1月18日(金)~2020年2月2日(日)池袋マルイにて開催いたします。
シリーズ誕生から30年を突破!
OVAから『劇場版』の時代を回顧するもうひとつの展覧会。

池袋マルイ[ACT.2]はOVA-THE MOVIE期とその後のパッケージイラスト、愛蔵版発売記念としてマンガ版のカバーイラスト、立体造形を展示!
prtimes.jp

追加情報 このブログ内のゆうきまさみ関連記事リンク集(抜けはあるかもしれない)

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こういうのって、つくったあと最新情報を加えるのが重要なんだよね。

これも追加


そう、こういうコメントもしていた、していた

ケンドー・ナガサキは逝去直前にカブキ、キラー・カーンらと揃い踏み。歴史は、「間に合った」…(報知新聞)

hochi.news

“ケンカ最強”と恐れられたプロレスラーのケンドー・ナガサキこと桜田一男さんが12日、71歳で亡くなった。1980年代に、顔面ペイントに頭頂部をそり上げた落ち武者スタイルの悪役レスラーとして米国で活躍……亡くなる1週間前にカツラをつけてメイクして再変装。ザ・グレート・カブキ(71)、キラー・カーン(72)ら昭和のレジェンドたちと“奇跡の6ショット”を撮影していた。(酒井 隆之)

(略)
レジェンドレスラーたちが各自ブースを設け、サイン会、撮影会、グッズ販売を行った。

 共演イベントではなく個別の活動だったが、控室で夢のレジェンドショットが実現していた。主催者からの依頼でレスラーをコーディネートしたグッズ製造・販売のチームフルスイング・利根川亘代表(47)が、個々の空き時間を縫って6選手を控室に集めた。キラー・カーン(小沢正志)=居酒屋経営=、ザ・グレート・カブキ(米良明久)=同=、木村健悟(66)=品川区議=、ウルトラセブン高杉正彦、64)、右足を切断し義足で退院したばかりの谷津嘉章(63)、そしてメイクして“落ち武者カツラ”をつけたケンドー・ナガサキが復活した(敬称略)。

 このカツラは元美容師で利根川氏の友美夫人(44)が、大きいサイズのカツラの頭頂部をナガサキ仕様にカットして作った……イベント参加を迷っていたカーンは訃報を受けて「桜田に会えて、行ってよかった。桜田の分まで長生きしないといけないな」とつぶやいた。

少年時代の自分が夢想した、「アメリカで大暴れしてるオリエンタル・レスラーが軍団を作れば面白いのに」が実現した1枚。木村健吾も、メキシコでは韓国の大悪党パク・チューとして、あのエル・サントとも抗争を繰り広げたのだった。谷津嘉章も、トラ・ヤツの名前で…まぁ新日からの”バーター研修生”であり、アメリカでは彼の名前で客が呼べるようなファイターじゃなかったけど、それでもMSGのリングにあがったもんな。ウルトラセブンは知らぬ(笑)

とくにナガサキとカブキのそろい踏みは、みのもけんじ「プロレススターウォーズ」でないと見られないと思っていました。


ネット上には、これも海外長期遠征はないけど、海外にファンがすごくいるマナミ・トヨタも入った写真がUPされている。


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オリエンタルレスラーそろい踏み&豊田真奈美 ※ https://twitter.com/marukomariya/status/1213662502937956357 より


しかし、興味深い話ではあるけれども、スポーツ新聞の記事になるってのはちょっと、「ん?めずらしいな なんでだろう」と思わせる部分もある。
実はこれ、属人的ってゆーか、報知新聞には、そういうのに『強い』名物記者さんがいたみたいですね。
グッジョブ。だからこそその人脈で、写真の提供も受けたらしい。



キラーカーンと言えば、そもそもジャパンプロレス解散、長州の新日復帰を見て「プロレス界のなにもかもが嫌になり」世界の頂点、人気絶頂だったハルク・ホーガンとの大抗争をプランしていたWWF(当時)の慰留と報酬を振り切って引退したことで知られる。ビンスは「トラブルがあるなら何でも言ってみろ、おれがすべて解決する!!」とまで言ったとか。

その彼も、徐々にプロレスと和解してくれているようだ。

イベント参加を迷っていたカーンは訃報を受けて「桜田に会えて、行ってよかった。桜田の分まで長生きしないといけないな」

すべては、歴史の前にひれふす。

本日UFC、コナー・マクレガー参戦。報酬もすごいものに

……あとは落ちていくしかないほどの高みに達したマクレガーは、一時はセレブとしてのライフスタイルに浸っていると報じられ、昨今では酒場でのもめ事など、ネガティブなニュースばかりが漏れ伝わってくるようになってきていた。
「名声の落とし穴に落ち、集中力をなくしてしまっていた。時には感情に駆られて、思ってもみないことをしてしまうこともあった。格闘家としての自分のこれまでの成功は、コンスタントに格闘技にコミットしてきたからこその結果だった。そして今、俺はやっと格闘技に全力を注(そそ)ぐことができるようになった」とマクレガーは復帰に向けて意欲を見せている。

(略)

…セラーニも試合の意味はよく分かっている。

「オレはスタンドで勝負する。みんなそれを見たいんだろ。それでは勝てないというヤツがいるが、オレは退屈な試合で勝つくらいなら、歴史に残る最高の試合で負ける方がいいんだ。マクレガーが昔のようなハングリー・キッドで出てきてくれることを期待しているし、そうなると思うよ」




放送はWOWOWで。

プレリムにはロクサン・モダフェリの試合も
yunta.hatenablog.com

「アラジンと魔法のランプ」にはアラビア語の原典が存在しない、という話

えっとおどろき、ウィキペディアも見る。

典拠

ヨーロッパでは、18世紀初頭にフランスのアントワーヌ・ガラン(Antoine Galland)によるフランス語訳『アラビアン・ナイト』(ガラン版 1704-1717)によって紹介された。しかし、「アラジンと魔法のランプ」にはアラビア語の写本や原典が存在しないことが問題となっていた。

ガランの1709年3月25日の日記によれば、1709年にガランはアレッポ出身のマロン派キリスト教徒、ハンナ・ディアブ(Hanna Diab)から「アラジンと魔法のランプ」の物語を聞いた。その後ハンナ・ディアブは物語を筆記してガランに手渡したと思われる[2]。ガランはこれをフランス語に訳した。

アラビア語による写本が最初に現れるのは1787年であり、それはパリに住んでいたシリア人キリスト教徒であるディオニシウス・シャウィシュ(Dionysius Shawish)別名ドム・デニス・シャヴィー(Dom Denis Chavis)によるものであった。これはガランが最初に使用したガラン写本に欠けた部分を補うように書かれていた。

この写本は、パリで1805年から1808年の間に、有名なセム語学者シルヴェストル・ド・サシーの協力者であったシリア人のミハイル・サッバーグ(Mikhail Sabbagh)によって書かれたものとして、再び世に現れた。サッバーグはこれをバグダッドで1703年に書かれたものだと主張した[2]。その後、このサッバーグ写本は、フランスの東洋学者エルマン・ゾータンベール(H.Zotenberg)によって「発見」され、1888年に公刊された[3]。

ところが、ハーバード大学アラビア語の教授であったムフシン・マフディー(Muhsin Mahdi)が、「千夜一夜物語」の原型といわれるものの復元に成功して、「初期アラビア語原典による千夜一夜物語の書」という、画期的な研究成果を1984年に発表し、今まで解明されていなかった多くの問題に光を与えるところとなった[4][5]。マフディーの写本研究はまた思いがけない発見をしている[6]。マフディーがサッバーグ版とシャヴィー版をガランのフランス語版と詳細に比較した結果、これらの写本は偽物であると結論を下した。ガランのフランス語の構文や言い回しの特徴から、シャヴィーがガランのフランス語版を逆にアラビア語に訳して偽造したものであり、さらにサッバーグは、シャヴィー版に更に手を加えて、これをバグダッドで書かれた写本であると偽ったことが解明された[2][3][7]。
ja.wikipedia.org


おいらはこういう偽作、偽名言が大好きで、どうかすれば好きなあまり自分でも作りたいぐらいだ(笑)



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『韓国で米大使の口ひげが物議』…で「陣中ひげくらべ」という歌を思い出したので紹介したい

韓国、米大使の口ひげが物議 日本の朝鮮総督を想起

www.afpbb.com

…【1月18日 AFP】韓国で、同国に駐在するハリー・ハリス(Harry Harris)米大使の口ひげが物議を醸している。
 ハリス大使は日本人の母親を持つ日系米国人で、韓国では1910~45年の日本植民地支配について現在も強い反感が残っている。大使の口ひげについては、当時の植民地時代の総督を思い起こさせるとの声が上がっている。
 ハリス大使は16日の記者会見で、口ひげは個人の好みの問題であり、批判的な人々は「歴史から都合のよい部分だけを拾い出している」と反論。朝鮮独立運動の闘士やその他の歴史的人物の多くも口ひげをたくわえていたと指摘し、「両国間に歴史的な反感があることは理解しているものの、私は駐韓日米大使ではなく、駐韓米大使だ」と表明した。

そこで。


陣中ひげくらべ (東海林太郎)

おばあちゃんが好きな歌でした。

1, おいおい戦友 おい戦友
貴様のちょびひげ なっちよらんぞ
どぢやうがあきれて 笑っとる
全くちょびひげ なっちょらんぞ.


2, 俺のもどぢゃうに 似とるかな
どぢゃうに似とっちゃ なっちょらんぞ
隊長殿よりひげだけは
立派に飾って帰りたい


3,女房に写真を送ろかな
さぞかしひげ見て 笑ふだろ
せがれまねして ひげかいて
兵隊ごっこで 遊ぶぢゃろ.


4, ひげにも色々 あるけれど
カイゼルひげではちょと照れる
山羊ひげ虎ひげ鯰ひげ
馬占山ではなっちょらんぞ


4番のオチ、わかるかなあ…

日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)

日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)

ちなみに米大使は片方の親が日本人のため「チョッパリ」「混血人」「倭寇」などと呼ばれている由

与党・共に民主党で最高委員を務める薛勲(ソル・フン)議員は「大使は朝鮮総督なのか」と発言した。母親が日本人で米海軍提督出身でもあるハリス大使を「朝鮮総督」と呼んだのだ。与党を支持するネットユーザーの間からは、ハリス大使を「チョッパリ(日本人の蔑称)混血人のグンパリ(兵士の俗称)」「米国籍の倭寇」など侮辱的な言葉で非難する声が相次いだ。
www.chosunonline.com

工夫無きベタか、ど真ん中の王道か?デスゲーム漫画「なれの果ての僕ら」が少年マガジンで連載開始

こんな連載が少年マガジンで始まったのです。

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デスゲーム漫画?らしい「なれの果ての僕ら」(少年マガジン


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デスゲーム漫画?らしい「なれの果ての僕ら」(少年マガジン


一読してみましたが、
「ああ、デスゲームものだな、さて…(最後まで読んで)デスゲームだ!!!!」
という、感想にもなってない感想でした。いや、ある意味あちらの勝ち、こちらの負け。
第一話に限って言えば、ほんとうにこってこての、最初から最後まで「どこかで見たことあるな」な設定と、展開でした……が、それで批判してるかというとちょっと違う。
あんまり典型的すぎて、「これは、デスゲームものを初めて誰かに紹介したり、説明しようという時は、この作品になるかもしれないな…」と、そんな、典型的すぎて王道のど真ん中を行くような、そんな感覚を感じたのですよ。
これって、「ぼくだけがいない街」を最初に読んだときの感想に似ている。あれだって、時間ループものの基本設定と、それにまつわるアイデアは出尽くしたぐらいに数多くそろった中で登場し、最初から最後まで「初登場のアイデア」みたいなものは感じられなかったけれども、逆に言うとそういうアイデアの山からベストのものをチョイスして、綺麗なフォームに整えて提供していただいたがゆえに、アニメ、映画、この漫画がすごい!ランキングなど大成功を収めたではありませぬか。

僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)

僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)

第一話だけでいうのもなんだし、実はこのあと、あっとおどろく新機軸や超絶アイデアが待ち受けているのかもしれないけど、少なくとも現時点での感想では、
「ものすごくベタで、既視感のあるデスゲームもの。だけど、それゆえに、これまでのそういうジャンルの集大成のような、一番整ったデスゲームものの王道、代表作品になるかもしれない」
というものです。

特徴としては、最初に事件の概要、結果を書いている…ということ

引用した1P目のそのあとには、事故調書あるいは新聞記事的な、事件概要を無味乾燥に述べる記述がある。そこで事件の規模や犠牲者の数、主犯の名前などが列挙される。そこから遡って事件を描写……という展開も、今まで見たことが無いかといえばあるんだけどさ、ただ、これをやっちゃうと結末は変えられないからねー。そういう点では物語は最初から最後まで基本的にコントロールされて、きっちりと描かれるんじゃないか、と思います。


登場人物は高校生(16歳)。「少年マガジン」に連載されることの意義

デスゲームもの……って福本伸行を起用して『賭博覇王伝 零』とかやったけどね。ただ、今回の作品はデス”ゲーム”のゲーム性というより…これもお馴染みの設定だけど、そのゲームで「勝つ(生き残る)ためには、ほかの誰かを犠牲にしなければいけない」というルールが顔見知りの友人、クラスの仲間の中で課され……、必然的に裏切りや暴力や友情や自己犠牲が(わっかりやすい形で)噴出する、というね。

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なれの果ての僕ら 信頼度実験

元々デスゲームものの、日本での現在のブームの源流と誰もが認めるだろう「バトル・ロワイアル」もそうだったけど、たぶん、本当に思春期まっさかり、学校生活そのままの状態でこういう作品に接すると、自分のクラスの人間関係やいわゆる『スクールカースト』と、オーバーラップさせるものがあるのではないか。だからこそ特別なものが生まれるかもしれない…ので、ほかの青年誌などに載るより、まさにど真ん中の「少年マガジン」に載ることに大きなインパクトがあると思う。

かつて少年チャンピオン藤子不二雄A先生が「魔太郎がくる!」を連載し人気になった時、本当にお遊び企画で「あなたの『うらみはらさでおくべきか…』を教えてください!」という募集をしたら、ホントにシャレにならない投書がごっそりときて、A先生は「これはヤバイ…」と直感、内容はマネできないように幻想的なものになり、実写化企画もすべて(今に至るまで)断ることにしたんだとか。


デスゲーム、その起源と拡大と

デスゲームは定義も設定もそれほどがっちりとはしてなく、起源を探ろうとするとだいぶ難しいんだとか。
だから、厳密な系統図作りはあきらめて、日本ではやはり「バトル・ロワイヤル」から大まかなブームの系譜を認定した上で、そこから外れたもの、それより先のものを捜していけばいいのかとも思う。
もうその時代のことを知らない人も多いかもだけど、実は初登場の時に、こんなスキャンダラスというかレジェンド的なドラマがついていたのだ。

…中学生達が殺し合いを強いられるという内容。第5回日本ホラー小説大賞の最終候補に残ったものの、荒俣宏高橋克彦林真理子ら審査員からは、「非常に不愉快」「こう言う事を考える作者が嫌い」「賞の為には絶対マイナス」など、多くの不評を買い、受賞を逃す[1](選者の1人が後に書くところによると、最大の落選理由は作品的に落ちるからであり、しかし、おもしろいから売れるだろうと、別の場で語り合っていたとされる[2])。 その後、雑誌『Quick Japan』初代編集長の赤田祐一が誌面で「尋ね人」の広告を出し、高見とコンタクトを取ることに成功。1999年4月に太田出版から刊行され、先述の事情と共に話題を呼ぶ。2002年8月には最低限の修正(ミス部分など)を施した上で文庫化され、幻冬舎より刊行された。
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バトル・ロワイアル

バトル・ロワイアル

  • 発売日: 2015/08/01
  • メディア: Prime Video
バトル・ロワイアル 上  幻冬舎文庫 た 18-1

バトル・ロワイアル 上 幻冬舎文庫 た 18-1

そういう点で、それよりずっと前…の話になるが梶原一騎原作の「カラテ地獄変」は、黒梶原とも言われるバイオレンスでサディスティックな作風に、作者お得意のカラテアクションを交えたものだけど、なんかやっぱり「お互いに裏切りを誘発させるようなゲーム、ルール」みたいなものを不必要なほど(笑)登場させていた気がするなあ。たしか、「ナチの拷問に屈した経験のあるフランスの元レジスタンス実業家」が「自分だけではない、人間と刃弱いものなんだ」と信じて安心したいがために、拷問や裏切り誘発を繰り返す、みたいな展開もあって、デスゲームものをこの辺の系譜から紐付けてもいいのかもしれない、と今思った。
ただ、ほんとにシャレにならないほど胸糞悪い話が続くので、カラテ地獄変は自分も流し読み程度だわ。一説には、作画するほうも精神の負荷に耐えられず連載をギブアップした、なんて噂もあったほどで…(さすがに噂だろうとは思うが)

カラテ地獄変牙1

カラテ地獄変牙1

新カラテ地獄変 1

新カラテ地獄変 1




そういうのにいやんなったら、肩の凝らないセルフパロディものがいいかもしれない(笑)

次回のデスゲームにご期待ください!! 3 (ジャンプコミックス)

次回のデスゲームにご期待ください!! 3 (ジャンプコミックス)

  • 作者:Perico
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/05/02
  • メディア: コミック